アニマル泉

誉の名手のアニマル泉のレビュー・感想・評価

誉の名手(1917年製作の映画)
4.5
現存するフォードの最も古いサイレント映画。上映はサウンド版。
冒頭からガッチリした画面だ。坂を馬が登ってくる、背景の麓の牧草地で大群の牛が放牧されている。いきなり奥深い充実したショットだ。フォードは馬が素晴らしい。馬を描かせたら世界一だ。本作も急勾配の坂を馬が一気に駆け下りる、川を走り渡る、難易度が高い技が次々に披露される。
開け放たれたドアの枠ごしに外景の奥から馬が走ってくるショットが多用される。家の中と外が通底するフレームショットが面白い。
クライマックスは家の周りをグルグル馬で疾走しながらの銃撃戦だ。馬で走りながら撃つのがフォードの活劇だ。
木立ごしに禁止区域で水を汲んでいる少年が狙撃されるロングのショットも鮮烈だった。
フォードは「雨」だ。本作でも雨に濡れた馬が艶めかしい。
ハリー・ケリーのカメラ目線が多い。モリー・マローンのアップが生々しい光線で際立っている。
クライマックスをカットバックで盛り上げるのはグリフィス的だ。
アニマル泉

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