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ノストラダムスの大予言のswansongのレビュー・感想・評価

ノストラダムスの大予言(1974年製作の映画)
3.9
"1999年7の月、 空から恐怖の大王が降ってくる"

岸田今日子さんが全編にわたって呪詛のように呟き続けるナレーションが秀逸。

16世紀の医師 (にして占星術師、かつ詩人でもあった) ノストラダムスの著作"諸世紀"に収められたこの一篇の詩を"人類滅亡の予言"と強引に解釈し、核戦争や環境汚染への漠然とした不安を抱えていた1973年当時の日本人の心をガッチリつかんだ後藤勉氏の作戦勝ちですね。(笑)

いっぽう、後藤氏の書籍"ノストラダムスの大予言"の100万部突破のメガヒットに便乗し、前年の"日本沈没"に続く観客動員を見込んで映画化に乗り出した東宝は…

"日本沈没" (1973年)
製作費 5億円
配給収入 16億4千万円

"ノストラダムスの大予言" (1974年)
製作費 6億5千万円
配給収入 8億8千3百万円

期待したほどの配収が得られなかったうえに、劇中の"とある描写"が猛烈なクレームを招き、公開から数ヶ月後には問題の箇所をカットする事態に。

おまけに劇場公開から数十年を経た現在に至るまで、決してソフト化されることのない"封印作品"となっております。

で、バッシングを受けたその描写ですけど、「これがNGなら"ヒルズ·ハブ·アイズ"や"怒りのデスロード"はどうなのよ?」と思わざるを得ません。

広島·長崎·第五福竜丸、三度の被曝を経験した日本だからこそ生じたクレームだったのですね。

本当に恐ろしいのは、目の前で水爆が炸裂しても誰も被爆しない"クリスタル·スカルの王国"や"GODZILLA"のようなアメリカ映画のほうだと思います。
どっちもシリーズじたいは嫌いやないけどね。
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