TAK44マグナム

ノストラダムスの大予言のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ノストラダムスの大予言(1974年製作の映画)
3.4
よくよく考えるとものすごい予言詐欺だったような気がするノストラダムス!
まだまだ世紀末まで時間があったので荒稼ぎしまくった五島勉の原作本を元に、大胆にも東宝がディザスタームービーとして実写映画化!
主演は、こういったハッタリが大事な映画には欠かせなかった丹波哲郎です。

世紀末。
公害問題を筆頭に、人類は未曽有の危機に直面していました。
オゾン層の破壊によって有害な紫外線が降り注ぎ、外に出たら焼け死んじゃったり、夢の島には巨大ナメクジが大量発生したり、放射能で狂ったアマゾンの原住民が人食いになったり、世に悲観した若者たちはバイクを乗り回した後に集団自殺したり、はては核戦争によって人類は破滅、わずかに残った人間は奇形のミュータントとなって新人類と化す・・・・・・といった人類絶滅の万国博覧のような出来事が次々と起こって、実はその半分ぐらいは丹波哲郎の妄想でしたという、究極のハッタリズム映画(造語です)!

とにかく気分が滅入るような事しか起こらない映画で、合間合間に由美かおるの謎ダンスを挿入したり、なんというか「ジャンク」とか「グレートハンティング」みたいなエセ残酷ドキュメンタリーみたいな作り。
一応、筋みたいなものはあるんですけど、そんなのはどうでもいい感じで、「このままだと世紀末には酷いことばかり起きて恐ろしいよ~!というか、みんな死ぬよ!」と、当時の無垢な人々に暗澹たる未来像を植えつけまくることだけに注力した内容になっております。

公開当時、速攻で世間からクレームが続出、特に奇形ミュータントと人肉喰いのシーンが目をつけられてしまって以後はカットされたバージョンしか観ることが叶わない映画になってしまいました。
そのうち、テレビ放送やソフト化は自粛されてしまい、そういった点から逆に「観られないから観たい」という好事家たちの間でカルト映画として祭り上げられる事態になりました。

鑑賞したのは台湾版のDVDで、ネットオークションで入手したものでした。懸念していたミュータントや人肉喰いもそのままのノーカット版でした。
しかし、現在のレベルでいえば、当然ですがもっとリアルな出来の「見てはいけないもの」が普通に出てくる映画なんて腐るほどあるし、レーティング制度のお陰で、よほどでない限りはカット版しか観られない&そもそも国内では上映もソフト化も無い・・・というような事はないので、本作を「いけないものが映っている映画」というスタンスで観るとガッカリ感が半端ないと思うので注意されたしです。

それよりも、世紀末を乗り越えた今でも全く解決できていない、原発や自然破壊などの人類共通に抱える問題(中国の公害汚染や食品加工問題などが記憶に新しいですね)が山積みですので、真面目に諸問題に向き合うきっかけになれば意義のある作品だったと言えるのではないでしょうか。
そもそも、主題はそこにある映画なのですから・・・。

ちなみに、本作は文部省推薦映画でした。


セルDVD(海賊版?)にて