星一

震える舌の星一のレビュー・感想・評価

震える舌(1980年製作の映画)
3.5
 とある団地にある沼地の様な場所で遊ぶ昌子は切り傷を負ってしまう。その日を境に様子がおかしくなり、ある日、舌を噛むほどの痙攣を起こす。大学病院での検査により、昌子は”破傷風”にかかっていた事がわかる。その闘病する様と、看病する家族の辛く長い闘病生活を描く映画。

 2時間という時間を短くさせるほど、この映画は精神的な苦痛を伴う。それほど多大なる苦痛をともなった闘病生活を送る昌子の姿は痛ましく、目を覆いたくなる。夫婦の憔悴しきっていく様は心にグッと重いものを押し寄せてくる。

 映像、音、ストーリー、それらが丁度いい具合に怖さを引き出していて、見ている間も緊張感が継続される。また、後半部分の三人の変わり果てた顔は辛すぎて、見れない人もいる様な気がする。

 私もそれなりに映画を幼い頃から見てきたつもりではありますが、これほど精神的にくる映画は見たことありませんでした。

 この映画はそれほど破傷風の怖さを十分過ぎるほど表現した映画だと思います。

 怖いかもしれませんが、破傷風という病気の怖さを知るには一度見てみるのもいいかもしれません。些細な傷が大事な人を苦しめる、その前に。
星一

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