Tully

震える舌のTullyのネタバレレビュー・内容・結末

震える舌(1980年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

意外と知られていない破傷風。脊椎を折って死に至る事。舌を噛み切ってしまう事も有るほどの猛烈な全身痙攣。こんな病に我が子が感染したら親はどうなるのか。かなりディープな作品ですが、一見の価値は有ると思います。今でこそ、発症は少なくなっている同病ですが汚染された沼地で水遊びをしただけで、手の小さな傷から病原菌が入り込み発病の兆しが現れ始める。手足の若干の麻痺症状から始まり、言語にも麻痺が現れ始め、心配になった両親が娘を病院に連れて行く。ここから悲劇は始まります。子供にとっても、両親にとっても。始めは、日本脳炎や小児麻痺でなく、破傷風と知らされ安堵していた両親は、この病の本当の怖さは知らなかったのです。いつなんどき起こるか分からない強烈な痙攣。その痙攣から舌を噛み呼吸困難に陥り、口から、気道確保の為に、歯をバキバキ折ってマウスピースを必死の形相で口に挿管する医者たち。ちょっとした光でさえも、発作の原因となるため、暗幕が敷かれ昼間でも夜のように暗いその部屋の中で、いつ起こるかもしれない発作に怯え、一睡も出来ず人格さえも壊れていく両親達。娘に噛み付かれた手から、自分自身も感染したのではと怯える日々。とにかく、良いも悪いも一度観たら忘れられない映画であることは必至です。身近でも起こりうるテーマを題材にしていることも有り、ホラー映画では味わえない全く別ジャンルの作品と言えるでしょう。破傷風の予防接種を受けていない乳児を持つ親100人にこの映画を見せたら、取るものもとりあえず即座に保健所に行くのではないでしょうか。DVD化はされていないようですが名作なので是非観てほしい限り。最後は快方に向かう所は、唯一の光明です。出演者達の迫真の演技。子役の子の熱演。観るべき点は多いです。しかし観るからには、相当のトラウマ。夜も寝られぬほどの衝撃。悪夢にうなされる覚悟を持ってから観てください。色々書きましたが、観るべき点の多い映画だと思います。
Tully

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