パウンドケーキ

愛するのパウンドケーキのネタバレレビュー・内容・結末

愛する(1997年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

酒井美紀、配役素晴らしかったな。
彼女の清純さに打ってつけの、「可哀そう」と感じたら自分の持っているすべてを捧げずにいられない女性。
「ハンセン病」、国による隔離政策、無知等による差別、迫害。その人々と生きていきたいと強く思う女性。
男を追う母親に捨てられ、孤独な少年期を過ごした男性を渡部が演じ、酒井が渡部と再会の時、泣く姿も印象的だった。
親に捨てられるという経験をした男性が、恋人と出会い、その女性が自分の元に戻れない心境になる。目の前を電車が通過していく。
あのシーンで涙がボロボロ出たなあ。わかるよ。
正にこのタイトルの「愛する」なんだよな。

渡部演じる男性の母親とは正反対の女性だった。
死で終わったけど、死ぬまで自分のことを忘れなかったことが伝わってある意味心の底でずっとこの男性が求めていたものが得られたのでは。

渡部篤郎は同年TV初連ドラの「ストーカー逃げきれぬ愛」も凄かったけど2年後の「ケイゾク」でブレイク。
渡部をこの映画で初めて観たけど今見ても本当にいい役者だ。

それにしてもamazonでも指摘されてたけど、この日本映画の理解度がこのレベルってほんとお粗末だね。熊井監督もあの世で呆れてるだろう。
原作と違うからこの映画が薄っぺらいんじゃない。むしろどんなに焦がれても別々に生きたことがこの男性をも根底から救うことになっている。