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愛するのnenaiのレビュー・感想・評価

愛する(1997年製作の映画)
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よかったです……。螺旋階段のある映画館、白い靄のかかった林道や十字架が不規則に並ぶさま、砂丘を越え荒い波の打ち寄せる海に向かう老人、残った白い糸を指先で巻いて大切な物入れに入れる動作、吉岡の足元を写しながらトラックが勢いよく何台も通りすぎて行くさまなども印象に残る。かわいそう…というミツの言葉の曇りのなさがすごいし、屈折男の吉岡が絆されていく変化のさまもよい。もとの生活に戻る列車を待ちながら、わたしは悪い女だというミツのモノローグがあるが、原作の題の、わたしが・棄てた・女、というのはミツが棄てたミツ(個人、個人としての幸福を求めるものとしての)ということなのだろうか?小説を読んでみたい。渡部篤郎のウインクに始まり体感五分で出会って脱衣に至るんですけど(フランス映画か?イライラして生き急いでる感のある若い男もそれっぽい?)、渡部篤郎のすきだよのうわべしかない投げやりな感じが秀逸、だというのに自らカーディガンのボタンを外す酒井美紀さんの表情とその映し方…めっちゃよいと思う気持ちと頭を抱えたくなる気持ちが生じる…。酒井美紀さんはカーテンを閉めたり電気のスイッチを消したりもする、渡部篤郎はイライラした感じで夜道を歩き去りながら転ぶし、ジッポをカチカチいわせたりする(よい)。
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