バンバンビガロ

ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

4.2
原題になっているハーツ・アンド・マインズというフレーズは作品の冒頭にも出てくるジョンソン大統領の演説での「最終的な勝利は、実際に向こうで暮らしているベトナム人の意欲と気質(ハーツ・アンド・マインズ)にかかっているだろう」という言葉からとられており、これが一種の皮肉であることは本編を観ずとも理解できることだが、それ以上にこの映画はベトナム戦争に関わった様々な人々のハーツ・アンド・マインズを問題にした映画でもある。
アメリカとベトナム両側の様々な立場の人々から集めたインタビューと取材映像を細かくマッシュアップしながら大きなストーリーラインを描き出していくというドキュメンタリーで、ドキュメンタリーにおける編集の細かさはそれだけ制作陣の意図が強く働きやすいことを意味するし、作品のメッセージも明確になる。
もちろんこの映画がベトナムに介入したアメリカの判断そのものが間違っていたのだと糾弾する内容であることは明らかなのだが、捕虜からの帰還兵、爆撃機のパイロット、負傷した退役軍人、兵役拒否者、そして家族を殺され、家を焼かれ、住む場所を追われたベトナムの市民たちが語る内容そのすべてが単なる反戦のメッセージでくくることのできない、より大きな戦争のもたらした傷を浮かび上がらせている。
ベトナム戦争を題材にした数多の映画の中でも一頭地を抜く、ドキュメンタリー映画の傑作であると思う。
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