かめしゃん

遙かなる帰郷のかめしゃんのレビュー・感想・評価

遙かなる帰郷(1997年製作の映画)
5.0
#トランスフォーマー のジョン・タトゥーロだ!

・あの広い国土で、偶然、ふたりの知り合いと再会できることはあり得ないから、この物語は実話だけど、ある種のファンタジーでもあるのだと思う あまりに救いがないのではつら過ぎるから

・バイオリンを盗んだ下りは、あっさりしていてリアルだった 創作というよりは実話っぽいなあと感じた部分 死の寸前で命が助かった人たちにとっては、たとえ形見のバイオリンと言われたところで心を痛める余裕すらない 勿論、悪いことだけど

・行きずりで関係をもったり持たなかったり、すごくランダム性の高いイベントみたいな感じがするが、それも、戦時下であったら、その瞬間瞬間のことなので、人生、というタイムスパンで考えられなくなるのはとても自然なことだと思った 明日の命の保証はない

・恥ずかしながら、アウシュビッツが、ベルリン陥落よりも先に解放されていたのを知らなかった 現実としては、もう餓死寸前ぐらい痩せ細っている人達ばかりだったと自分は記憶していた 
ブルドーザーで大勢の死体を穴に落とす映像は余りにも有名

・本作が余り触れてないことを言うのは野暮なんだが、敵国ドイツ人に対するソ連兵の横暴の度合いは凄まじく、戦後のドイツ人女性に処女無し、と言われた程であったという イタリア系ユダヤ人の主人公(作者)がそういう場面に遭遇していない為、劇中では素朴なソ連の軍人の一面が見られる
それもまた事実ということだろう

・戦後のドイツは、ナチスがやったことがあまりに酷すぎて自国民としても直視することが辛過ぎた為、国や国民が歴史を振り返ったりそこから反省を引き出すのに35〜40年近くかかっている それぐらい、戦後の空白期間というのは長かった 作中でもあるがアウシュビッツのことが正確に知られるまでにも相当な時間が掛かったと思う
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