バナバナ

推手のバナバナのレビュー・感想・評価

推手(1991年製作の映画)
4.0
朱老人は太極拳の師範。国際結婚してNY郊外で暮らす息子に呼ばれて、アメリカに移住する。
しかし家には、中で仕事をするライターの嫁がおり、朱老人にストレスを溜めるのだった…。

朱老人はよくいる中国人の様に煩くなく、物静かな人だ。
しかも料理も上手だし、こんな義父さんだったら大歓迎じゃないのと思うのだが、アメリカでは高校を卒業したら親と独立するのが普通なので、
嫁がイライラするのも分かる。

それに朱家は、第二次世界大戦後の共産党の中国で上位の家庭だったが、文化大革命時に家族を紅衛兵に殺されたらしい。
そんな中、自分を守り育ててくれた父親を大事にしたいという息子の気持ちも分かる。

現在、香港がデモで大変だが、香港は第二次世界大戦直後や文化大革命の時に、着の身着のままで本土から逃げてきた人が多い。
香港のイギリス割譲が終わった時に、子供だけでもと、慌ててオーストラリアや海外に留学させて、国籍まで取らせた家庭もたくさんある。
この作品では朱家は北京出身だが、息子はアメリカでAIの研究をし、
そのまま国籍を採れたのだから同じだろう。

結局、親離れ子離れの話であったが、朱老人は太極拳、陳夫人は料理と、これという物がある人は強いな(元々芯が強い人たちだけれども)。
近くの家族より、程よく他人と関わって生活する方が、家族間で甘え過ぎずに自分らしさを保って生きていけるから、いいんだろうな。
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