桃子

エイリアン/ディレクターズ・カットの桃子のレビュー・感想・評価

5.0
「In space no one can hear you scream」

レビュー300本目は何にしようかと思っていたのだけれど、昨日レビュー未記録の映画を一気に8本も書いたら、いつのまにか304までいっていた。見たら300本目は「無頼の谷」!だめじゃん…(/_;)(ちなみに、1日のレビューを書いた本数の最高記録は12本です)順番を入れ替えて「飾窓の女」を300本目で書けばよかった(笑)
そういえば「無頼の谷」のレビューに追記したいことがある。「モロッコ」の私のレビューを≪いいね!≫してくださった方がいらっしゃった。すぐにその方のレビューを読みに行ったら、「ゲイリー・クーパーの台詞に『10年前に出会いたかった』というのがあった」の一文があった。これを読んではっとした。「無頼の谷」ではディートリヒ様がまさにこの台詞を言っていたのである。フリッツ・ラング監督の「モロッコ」へのオマージュだったのだろうか。それとも脚本の偶然?こういう大事なことを思い出せないのでは、レビュー書きも焼きが回ったなあ。というか、私の脳細胞は最初から焼きが回っているんだけど。
気を取り直して300本目のつもりでレビューを書くことにする。SFホラーの傑作である。公開されたのは1979年で、「スターウォーズ」の2年後なのだが、私は映画館には行っていない。SWは映画館で2回も3回も見た記憶があるが、当時の私は(ホラー映画なんて怖くてとんでもない、お金を払って見る人の気がしれない!)と思っていたのである。公開当時のキャッチコピーは「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」だった。これはたしかに見聞きした覚えがある。このコピーにビビって映画館に行かなかったのだと思う。大画面でこの映画を見たら最高だっただろうに、なんていう若気の至りだろう… もったいない… 
全く知らなかったのだが、今年の6月にイアン・ホルムが亡くなっていた。毎日ニュースはチェックしているつもりだが、見逃していたようだ。いい俳優さんだった。なんと言っても私の中ではLOTRのビルボ・バギンズである。バギンズの名言をひとつ。「光るものすべてが金であるとは限らぬ、そして放浪する者すべてが迷える者とは限らない」イアン・ホルムのご冥福を祈ります。合掌。
これでクルー7人のうち、3人が鬼籍に入ってしまった。公開されて40年が経つのだから仕方のないことなのだが、寂しい。リドリー・スコット監督は今年82歳である。どうか長生きして「エイリアン」の続編でもスピンオフでも何でもいいので作って欲しい。
最近は映画鑑賞と同時進行で時代小説を読んでいる。藤沢周平が多いのだが、そう言えば池波正太郎もいたなあと思ってKindleで探していたら、池波さんは映画フリークだったことがわかった。さっそく「映画を見ると得をする もっと映画が面白くなる 映画を見ると粋な人間になっていく」というやたら副題が長い本をDLして読み始めたら、池波さんはこの映画がいたくお気に召されたようで、「エイリアンが…」「エイリアンでは…」と何度も出てくる。脚本がいい、監督がいい、音楽がいいと、もう大絶賛なのである。子供のころから映画を見まくって目の肥えた池波さんが大絶賛する映画なら、大傑作に違いない。
私はいつもアマプラで映画を見ていて、見放題に入っていない映画は諦めるか、宅配レンタルするか、見放題になるまで辛抱強く待つ。まあ、たまにどうしても見たい映画は100円とか400円とか課金して見るのだけれど。ただひとつの例外がこの「エイリアン」である。999円を払って“購入”したのである。2017年の10月のことだった。買ってしまえばこっちのもの、いつでも何回でも見ることができる。そして昨日、久しぶりに(買ったのが3年前だからおそらく3年ぶりに)見た。これで何回目の鑑賞になるのだろう。たぶん5回目とか6回目ではないかなあ。
購入したのは、ディレクターズカット版である。劇場版と違うのはどこなのかイマイチ知らなかったので、あらためて確認した。ダラス船長とブレット機関士のふたりが繭になって吊るされているシーンか~~ 劇場版とDC版はほとんど同じ長さのようだ。ということは、劇場版のどこかのシーンをカットして未公開のシーンと入れ替えたのかもしれない。
この映画については、まだまだ書きたいことがたくさんあるのだが、きりがないので、あとひとつだけ。猫のジョーンズについてである。撮影では4匹の同じような猫を起用したのだという。猫が怖がるシーンは、板の後ろにシェパード犬を待機させておいて、板をはずしてフーーーーッとなったところを撮影したとのこと。なるほどねえ。動物相手だから、いろいろ工夫して大変だったことだろう。「シガニー・ウィーバーは抱き上げるたびに目の充血に悩まされ、一時は降板すら覚悟した。この原因は汗として使われたグリセリンと猫の毛が混合し、アレルギー反応が起きたためであった」という裏話もある。女優業って、ほんとうに大変な商売だ(+_+) 宇宙船に動物を同乗させているSF映画って他にあったっけ? 脆弱な脳細胞を働かせてみたが、犬や猫を見た記憶がないので、ジョーンズは希少価値のあるニャンコなのかもしれない。
桃子

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