からかす

アキラ AKIRAのからかすのレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
3.5
日本アニメ界の金字塔的作品を今更ながら鑑賞。
やはり画の力強さは凄まじく
ハードなSF・サイバーパンクな世界観
グロテスクさを強く感じる描写
そもそも見た目のカッコいい金田バイクなど
幼少期にアンパンマンと同じアニメだーと本作を観ていたら
怖くて夜寝れなかったかもしれない。

特にアニメ映画という点で評価すべきなのは
画の力強さや脚本によって
登場する人物たちの関係性や背景が分かるようになっていること。
個人的には本作はSFという厚い外殻をまとった
親友同士の喧嘩物語と感じている。
金田と哲夫の間に絆はあるけど嫉妬も憎悪もある。
そんな中で力に目覚めてしまい
全能感を得てしまったことで起こる大喧嘩の顛末…
といったところで、その喧嘩の中での
金田と哲夫の機微な感情の動きが描かれているのが素晴らしい。
もちろん声優陣の演技も素晴らしくて
哲夫の不満たまってます演技も良いし
金田の哲夫に対して舐め腐ってる(ように聞こえる)演技も良い。
少なくとも全てを説明する台詞回しではなく
演技で関係性を暗示するスタイルに非常に好感が持てる。

問題は前述のSFという厚い外殻部分で
この部分にあまり興味が持てなかったというのが正直な所。
漫画原作では詳細に描かれているのかもしれないが
本作では説明を放棄しているという印象。
最後は「2001年宇宙の旅」テイストに遷移していくが
「2001年〜」が難解ながらSFが物語の主軸だったのに対し
本作は喧嘩が物語の主軸なので
SF部分の説明が不足しているのでよく分からない。

そんなわけで若干の小難しさはあるものの
メインのストーリーはシンプルだし
映像も迫力があり
色んなオマージュ元となっている金田バイクや
「さんをつけろよデコ助野郎」の名台詞を聞くためにも
一見の価値ありの名作である。
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