スガシュウヘイ

アキラ AKIRAのスガシュウヘイのレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
4.0
2024年に見る『AKIRA』は未来的でありレトロでもある、やはり魅力的な作品だ。
斬新かつ古典。

極彩色に退廃した街・ネオ東京。


言うまでもないことだが、メカデザインは圧巻で、音楽も素晴らしい。
ただこれはあくまで表面的なことで、本作に小説的な深みを与えているのは、鉄雄だ。


主役級ヴィラン鉄雄の、弱い心に宿った強い力。自分のパワーを制御できない。


破壊的な力を手にしながら、裏では、
「あのような素晴らしい実験体をみすみす…」と科学者に言われてしまうような人間。

彼は支配者でありつつ実験体なのだ。
金田に敵意を見せつつ、心では助けを求めている。


金田もケイも、ザ・主役という感じでかっこいいが、一番深みのあるキャラは鉄雄だ。


ナンバーズの子どもたちの棒読みセリフも、むしろ不思議な違和感を演出していてハマってる。


終盤にかけて、『2001年宇宙の旅』みたいな混沌とした、哲学的宇宙的な謎の世界へぶっ飛んでいくが、私は結構そういうぶっ飛んだ世界観も好きなのである。


公開:1988年
監督:大友克洋