さうすぽー

アキラ AKIRAのさうすぽーのレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
5.0
自己満足点 97点

(祝)Filmarks100本投稿です!
という事を、つい一昨日知りました(笑)
なので、せっかくの記念という事でこの際自分のオールタイムベストである1本を紹介したいなと思います!

それが、大友克洋監督作品の「AKIRA」です!
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「さんを付けろよデコ助野郎!」
この台詞が印象的ですね!

この話は、第三次世界対戦後の日本(ネオ東京)が舞台です。
暴走族の頭である主人公金田がある事件に巻き込まれた事によって、同じ仲間にして幼なじみの鉄雄が超能力の実験台にされてしまうのですが、超能力を得た鉄雄が狂気に陥り、政府や金田達と対峙していくサイバーパンクです。

この映画のどういう所が好きかと問われたら何個も出てくるので非常に迷います(笑)

しかしまず語らないといけないと思うのが、この圧倒的に格好良くてかつ非常に緻密な作画だと思います。

特に冒頭のバイクの暴走シーンは本当にスタイリッシュですし、セル画による迫力あるアクションシーンや爆発シーン等、他にも見所は満載です。
「レディ・プレイヤー1」にも出てきた金田のバイクもカッコいいですね!
ちなみに中盤で鉄雄が大砲の弾を空中で止めるシーンは、キアヌ・リーヴスの「マトリックス」にも影響を与えています。

また、大友監督は背景も素晴らしいです。
ディストピア系の映画だと背景が暗い時が多いのですが、これは都市のネオン等が実にカラフルです。
また、冒頭の摩天楼のカットは奥行きがありますし、よく見るとビルの窓の一つ一つも細かく描かれています。
通常のアニメだと灯りしか描かれないのが殆どですが、この作品では窓の中にカーテンやデスク等も映しており、とても他のアニメでは観られない緻密な作画が観ることが出来ます。
これらを実現するために、当時のアニメ業界から選りすぐりの素晴らしいアニメーター達を勢揃いさせたそうですが、それでも殆どの方が監督の要望に付いていくのがやっとだったそうです(笑)
(大友監督、どんだけレベル高いんだよ!笑)

因みにこの映画は1988年の映画なので、今から丁度30年前になります(ちなみに僕はこの時まだ生まれてません)。
「となりのトトロ」と同じ年の公開で、同じく作画の評価が高い「攻殼機動隊(押井守版)」や「パプリカ」よりも前の作品です。
30年前のアニメーションだとは到底思えないです!

ストーリーや設定も秀逸です!
人工衛星の兵器やビームガン、
「反重力」という理論、
物を破壊するほどの超能力等、
SFに欠かせない要素が凄く多く、これらも大変興味深いです。
強い力を持ってしまうが故の人間の危険性やひねくれた思春期の独特な心情等も描かれていて、なおかつ金田と鉄雄の関係性の複雑な心理、子供達の人間描写等、キャラクターが非常に奥深いです。
ストーリー面でも近未来のサイバーパンクというジャンルとして傑作だと思いますし、個人的には「ブレードランナー」より内容が濃く感じます(勿論ブレードランナーも好きです)。

音楽もまた印象的ですね。
「ラッセラ、ラッセラ、ラッセラッセラッセラ」という一度耳にしたら離れない中毒性あるメロディ。
ガムランやケチャ等、民族音楽の音が耳に残ります。
他のSF映画ではテクノやオーケストラが主流なので、サイバーパンク含めたSF作品の中でも異彩を放っていると思います。
ですが、ここは人によって好みが分かれるところでもあると思います。

そして、この映画は青年以上向けのアニメだけあって、残酷なシーンも多いですし、気持ちの悪い描写もあります(特に人形の塊や終盤の鉄雄に関しては)。なので、そういう描写がダメな人にはこの映画は注意が必要です。
ジブリ等とは違い、家族で観るにはあまりおすすめ出来ません。

ですが、自分はこの映画を観たことがきっかけで「ブレードランナー」や「フィフス・エレメント」等、ディストピア系のSF作品を沢山観るきっかけになり、アニメにもそれまで以上に興味を持つきっかけとなった作品です。
観れば観るほど魅力が増える映画なので、まだ観てない方も一度は観てほしいです!

日本でも海外でもカルト的人気がある作品で、自分も愛して止まない作品です!