みてべいびー

アキラ AKIRAのみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

この構想を80年代に考えついた大友監督の脳ミソが計り知れない。物語は政府によって進められた子供に破壊的エネルギー(超能力)を付与する人体実験が手に負えなくなる科学の暴走、その過ちを繰り返す政府の欲深さ、超人鉄雄が見せる人間の弱さなどなど、現代社会における問題を見事に言い当てている。しかも2020年の東京オリンピックまで予言しちゃってるなんて千里眼でしかない。
しょっぱなにバーのジュークボックスで選曲してから店を出て、颯爽とバイクで走り去りながら曲が流れ始める金田のcharacter introductionがかっこよすぎる!!Neo Tokyoの景色も建物も、当時のレトロさとBlade Runnerの掛け合わせみたいで無敵。これを実写化しようなんて夢が壊れるからやめてくれ。
まさかのAKIRA君が搾取的な科学実験ですでに死亡してるっていうのが切ない。もはや彼の名前は超人的能力やエネルギーの総称みたいなものを指すのかなとかさえ思う。その彼の莫大な力を偶像化して、彼の細胞や神経を瓶詰めにしてる政府が恐すぎる。人のこと何だと思ってるの?
自分の力に酔いしれて見境なく周囲を破壊する鉄雄に、「あなたのように大きな人間がそんなに力を使ってはいけない、コントロールできなくなる」と忠告するのが子供達っていう皮肉。にしても最後、機械と同化してグロく肥大していく鉄雄の中に彼の好きな薫が吸収されて、周りの細胞に圧迫されて潰れちゃう場面がトラウマ級に切ない。その後彼女の死を体内で感じる鉄雄の叫びが悲痛すぎる。まさか自分の破壊力が大切な人にまで及んでしまうとは思わなかったんだろうね、それが科学の常だけどね。
少し残念だったのは、金田がもっと硬派な感じの男子かと思いきやなかなかチャラい系だったこと。難しいね、もうちょっとキャラとしての深みが欲しかった、漫画ではもっとしっかり描かれてるんだろうけどなぁ。あとモヤモヤするのは、子供達の発言が暗示するケイの超能力、そして前例とは違いそれをコントロールする力があるということ。その割に最後彼女の力が発揮されることは特にないし、その素振りも見せないまま終わる。だから本当に?それで合ってる?って自分の解釈に不安を覚えるけど、どの解釈でも正解なんてないのかなとも思う。とにかくすんごい映画だ好き。
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