グラサンビーニー

偶然にも最悪な少年のグラサンビーニーのレビュー・感想・評価

偶然にも最悪な少年(2003年製作の映画)
2.0
何年も後になって、ああそういう事だったのか、と分かることがある。それが、この「偶然にも最悪な少年」という映画の意味。
きっとほとんどの人の記憶にも残っていないであろう映画だと思う。

グ・スーヨン監督は、現在上映中の「永遠に僕のもの」を製作した、ルイスオルテガ監督と同じことをしたかったのだろう。
この二つの作品で共通して描かれたのは、明らかにどこかが壊れていて、倫理観が欠如した主人公と、その堕ちていく姿だ。オルテガ監督は、その主人公をあまりに美しく、あまりに純粋に描くことによって、鑑賞者にその堕ちていく姿でさえ見惚れさせ、また心を奪わせた。映画を観終わった後は倫理とは何なのかと、疑問を持たざるを得ず、自分の理性と感情の違いに目を向けさせられた。
しかし「偶然にも最悪な少年」のグ・スーヨン監督は、というか市原隼人のそれは、ただのいかれた変態野郎でしかなく、鑑賞した後に、何も残らなかった。
かっこよかったのは映画の題名と市原隼人の髪型くらいのもんで、鑑賞当時20歳頃だったと思うが、真似して髪の毛シルバーにしてたっけ。
ほんとそれだけの映画でした。