《侍の映画》、Vol.8。『どろろ』。
これも《侍の映画》かと言われると違う気がするけども、マイルールで捻じ曲げる。
どろろは柴咲コウのほうで、妻夫木聡は百鬼丸。
手塚治虫原作のアニメの実写。
1960年代のアニメ。
妖怪に自分の本当の体を48分割されて奪われた百鬼丸。
謎の医学で死人の体を移植されて蘇り、その自分の本当の体を取り戻すために48体の妖怪に立ち向かう。
なぜ、体を48分割にされて妖怪に奪われるという事態になったのか、、、。
それが、まさかの天下統一を目指す戦国武将との因縁にぶち当たる。
映画の評価はやや低め。
その理由は何となくわかる。
だけど、つまらないかと言えばそうでもない。
話はめちゃくちゃ面白い。
さすが日本のアニメの始祖、手塚治虫氏。
48体の妖怪を1体1体倒せば倒すほど、自分の体の一部が戻ってくる。
体の一部が戻ってくると共に、その戦いや人やその土地土地の事情に触れ、人間らしさも取り戻す。
心がないような無機質な百鬼丸と、感情丸出しの無邪気などろろ。
この対照的なコンビが、お互いを刺激し、それぞれに何かを残す。
その他、中井貴一、瑛太、杉本哲太、土屋アンナ、麻生久美子、劇団ひとり、でんでん、原田芳雄、、、。
映画だから真相に迫り、百鬼丸の曰くに決着をつけるために、話をかなり素早いテンポでこなしていくので、次から次へと細かいエピソードで繋ぐ。
だから、細かいエピソードに、それぞれ豪華キャストが散りばめられている。
そんなに豪華にしなくても良いんじゃないかと思うエピソードや人物にすら本気を感じる。
東宝とTBSが全力で実写化に挑んだ意思を感じる。
意思は感じるけど、手塚治虫ワールドは、その見た目以上に重厚感と入り組んだ世界観と奥深い哲学や社会性もある。
そこはまぁあれこれあって、実写アクションもツッコミどころが無いこともないし、そもそもどろろって子供じゃなかったっけ?とかもあるけど。
柴咲コウがおてんばで可愛いし、妻夫木聡カッコいいし、かなり見応えはある。別に薄っぺらいわけでもない。
ただ、この感じなら頑張って完結させてくれよ、とは思う。