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どろろのLEOのレビュー・感想・評価

どろろ(2007年製作の映画)
1.9
妖怪から自分の身体を取り返すべく刀や爆薬などの武器を仕込んだ全身作り物の体で旅する百鬼丸と、泥棒の子供・どろろの旅路を描いた手塚治虫の漫画を実写化した作品。
でも内容は百鬼丸が主人公で、「どろろ」は全くの脇役。

水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』の大人気に嫉妬した手塚治虫が「自分だって妖怪モノくらい描けるさ」と言って描き始めた本作だが付け焼き刃的な内容では全くなく、妖怪物に時代劇要素を加え、戦争に対する怒りやベルリンの壁や板門店などへの風刺を盛り込んだりと非常にバラエティ豊かな作品として、大好きな漫画である。
しかし手塚治虫という人は新人だろうがなんだろうが実力がある人にはとにかく嫉妬して、大友克洋が『童夢』で手塚治虫賞を獲ったときに表彰式で「この程度の作品、僕にだって描ける」と言っちゃうくらいなのだが、口だけじゃなくてすぐに凄い作品を描いちゃうのがやっぱり神様なんだよなぁ。

…で話は戻って本作、原作では室町時代くらいを舞台にしている世界観を“時代劇風”の架空の異世界にしている上に、原作のエピソードを切り詰めてストーリーで語るべきところをことごとく柴咲コウにセリフで喋らせてダイジェスト版みたいな作りにしてしまっている。
更に妖怪などの造形もチャチくてまるで学芸会。
原作の面影全くなし。
台無し……。

当時、妻夫木聡と柴咲コウの熱愛話がたびたび話題になってた時だから、この二人を共演させとけばみんな観に来るだろうという魂胆がミエミエの酷い作品に思えてならない。
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