BOB

スターマン/愛・宇宙はるかにのBOBのレビュー・感想・評価

3.8
ジョン・カーペンター監督のSFロマンスドラマ。

"Welcome to the planet earth"

気に入った!

『E.T.』(82)の影に隠れてしまった友好的な宇宙人との交流映画であり、ジョン・カーペンター監督"らしからぬ"感動作。ストーリーは、夫を事故で亡くし悲しみに暮れる女性と、亡き夫の見た目をした異星人"スターマン"のほのぼのロードムービーとなっている。

アメリカ人の良心を描いた愛の物語。
追手が間抜けだったり、偶然出会った人が皆協力的だったりと、ご都合主義的ともとれる展開が続く。が、本作は愛という概念を持たない異星人に対して、愛の美しさを伝える物語なので、ちゃんと成立しているように思えた。

スターマンが最初に出会った地球人が、心を失った官僚ではなく、心優しきジェニー(カレン・アレン)で本当に良かった。こんな地球/アメリカであってほしいという監督の願いが込められている気がした。

スターマンの言語・カルチャーギャップコメディが面白い。『地上より永遠に』のバート・ランカスターからキスを学ぶシーンは笑った。

スターマン登場シークエンスが面白い。カーペンター監督らしく一人称ショットで家に入り込み、死んだ人間の髪の毛のDNAを読み取って、人間に変身する。

ジェフ・ブリッジスの好演。全裸男の登場シーンといえば『ターミネーター』のシュワちゃんがあまりにも有名だが、ジェフ・ブリッジスも披露していたとは!しかも、この二作は同年の作品で、日本では『ターミネーター』より約1ヶ月早く公開されている。

『インディ・ジョーンズ』マリオン役のカレン・アレンが愛くるしい!美人だから皆協力的で、ヒッチハイクも一瞬でつかまってしまう。キスの仕方がめっちゃ可愛い。

脚本は『スタンド・バイ・ミー』のコンビ。77年赤のマスタングが映える。テーマ曲が、涙を誘う。

トリビア
・スターマンを演じるにあたり、ジェフ・ブリッジスは鳥類学を学び、鳥の動きを参考にしている。
・本作は『遊星からの物体X』で興行的に失敗したジョン・カーペンター監督が、ハリウッドでの名声を取り戻すために作られた。
・ジョン・カーペンター監督は見知らぬ二人が心を通わせていくロードムービーを制作するにあたり、『三十九夜』『手錠のまゝの脱獄』『或る夜の出来事』を参考にした。

"Love is, um, it's when you care more for someone else than you do yourself."

"You are a strange species. Not like any other. And you'd be surprised how many there are. Intelligent but savage. Shall I tell you what I find beautiful about you?"
"You are at your very best when things are worst."

174
BOB

BOB