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戦場のジャーナリストのtotoruruのレビュー・感想・評価

戦場のジャーナリスト(2000年製作の映画)
3.9
生と死の境目



旧ユーゴスラビアの民族紛争時の取材カメラマンとその妻の姿を実話を元に描いた内戦地映画。

日本では劇場未公開でCSとWOWOWのみで放送された。


キャストはエイドリアン・ブロディ, アンディ・マクダウェルなど。



1991年のスロベニア紛争。
1991年~1995年のクロアチア紛争。
1992年~1995年のボスニア紛争。
1996年~1999年のコソボ紛争。
そして2001年のマケドニア紛争。

ユーゴスラビア連邦の解体により、1991年から2001年に亘り発生した内戦。
いわゆるユーゴスラビア紛争。

本作は、その中の1991年~1995年に起こったクロアチア紛争を題材とした作品である。



クロアチア・・・

“アドリア海の宝石”と呼ばれ今では人気観光地ともなっているが、僅か24年前にこんなにも惨い戦争が起きていたことに衝撃を受ける。

当時の私はまだ不勉強な若造だったため、ユーゴスラビア紛争で気にした出来事は、サッカーでドラガン・ストイコビッチ率いるユーゴスラビア代表が国内紛争による国連の制裁で欧州選手権やワールドカップに出場を禁止されたことにショックを受けたことぐらいであった。



作品としては決して楽しいものではない。

後半の戦地での映像はドキュメンタリーを見ているように重苦しい。


生きているものは何でも殺す…
民間人であろうと病院であろうと攻撃をする兵士たち…

とにかく胸糞悪くなるような映像や出来事が出てくる。


常軌を逸した凄惨過ぎる状況にジャーナリズム精神すら崩壊する戦場。

ただ生き残るためにもがく人々。

何も判らぬまま残虐に殺されていく子供たち。


ただただ茫然と画面を見つめ知らぬ間に涙が頬を伝い、心臓を鷲掴みにされるように苦しい気持ちになります。

そんな重く苦しい作品ですが、それでも見て良かったと思える作品です。




2019年の今、美しい街並みとして人気観光地となったクロアチア。

昨年のワールドカップ(ロシア大会)では、ルカ・モドリッチ率いるクロアチア代表が準優勝という華々しい成績を残した。

僅か24年でここまで復興したクロアチア。

それだけに、過去に起きた悲しい戦争を知っておくべきだし、決して忘れてはいけないと思う。



フィルマでも驚くほどマーク数が少なく、マイナー作品の扱いとなっているのが勿体ない。

ぜひとも多くの人に見てほしい作品。
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