島崎藤村原作を市川崑監督が映画化。ちょうど今、間宮祥太朗主演でやっていますが、今作は62年版。
部落出身を隠して小学校の教師をする丑松（うしまつ）が出自を隠していることに葛藤する姿を描く。
胸が苦しくなるような部落問題。数十年前の日本にもアイヌ以外にこんなに激しい差別があったことに驚きます。差別をなくすのは、どれだけ困難な道のりか…
日本人の多勢に同調してしまう性質と思いやりの精神、両方を垣間見ました。
今作は希望のある結末としてい描いているのがやや強引ですが救われました。
市川雷蔵さん、よい役者だな〜。抑えた演技ながら苦しみが伝わってくる。
岸田今日子さんの凜とした姿と台詞、抜群です。今作がデビュー作という藤村志保さんの初々しさも印象的。適材適所なキャスティングでした。
宮川一夫さんのカメラワークが素晴らしい。冒頭の牛の迫力。部落でのシーンはほぼ真っ暗なのに滑らかな質感。後半の雪景色の美しさも沁みてきます。
原作は未読だけど、もっと深いのだろうなと想像がつく。
