Jaya

破戒のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

破戒(1962年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

部落民であることを明かすまいと誓う教員瀬川丑松が苦悩し告白するお話。原作ゆえか、インテリ然とした台詞回しが如何にも不自然でした。

丑松こと市川雷蔵や、猪子夫妻の三國連太郎と岸田今日子などの演技は特に素晴らしかったです。「部落ではない」と猪子に強く返答する丑松のシーンの迫力と情感が素晴らしい。

信州を舞台に被差別部落民への公然たる差別の様子が描かれ、猪子が社会的迫害を受ける様子は想像がつきやすいのですが、丑松の同僚たちの同質的な態度には少し疑問。土屋の「改心」ぶりも単純ですんなり受け止められませんでした。

丑松が生徒に謝罪するシーンは素晴らしく、心情も懊悩も痛いほど分かるのですが、謝罪を以てクライマックスとする構成は納得し難い。また、教師としてのシーンが少なく、告白を受ける子どもたちの心情も想像し難いものがありました。

現代においてこの物語が近いのか遠いのかと考えさせられましたが、その問題の普遍性こそ島崎藤村や市川崑の意図だったのかとも感じた作品でした。
Jaya

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