Holden

愛を読むひとのHoldenのレビュー・感想・評価

愛を読むひと(2008年製作の映画)
4.0
地獄のテスト3連チャンを終えて鑑賞

なんというかイライラが止まらない映画だった。やたら読み聞かせを頼んだりレストランで自分で頼まないあたり気になっていたけどそういうことね。字が読めない、書けない。

マイケルって勇気なさすぎない?
なんでハンナに有利に働くように証言しなかったんだろう。終身刑と読めないことをバラされるのどっちが嫌なんだろう。マイケルが最愛の人だからその最愛の人にだけはバレたくないのかな。マイケルはそこを考えたのか?
親に嘘ついて学校も早退して帰るくらい勇気あるのにね。昔は。

たしかに、看守はひどいと思う。
やたらマイケルの同級生の男性学生や裁判長もハンナらを批判していたけど、自分たちが実際その立場だったらやるしかない。だっていくらでも交代できる。使い物にならない、命令に背く看守なんていらないしね。

最後の女性が一番嫌。
本人からしたらそりゃハンナ嫌いになるのは分かるさ。けど、実際の計画主はハンナじゃないんだよ?懲役4年言い渡されたあのおばさんの誰かだよ?なんかな...本当...
胸糞悪い。

みんな自分を正当化するしかないよね。
男子生徒や裁判長は「こいつがやったことでいい」被害者女性も「こいつがやったことでいい」元同僚らも「こいつがやっちゃことでいい」

全部をハンナが受け入れた。

とにかくハンナが可哀想で仕方ないかった。
自殺したくなる気持ちも分かるよ。
何も言えないくらい辛すぎる映画はじめて。

(ついで)
西部邁先生に解説を聞いた。
原作ではハンナはルーマニア出身らしい。当時のルーマニア出身=ジプシー・ロマ(ユダヤよりも身分が低い(ていうか身分なんてないレベルのアウトオブカースト)
彼女はそこから逃げてきた。
彼女が字が読めないことを一番隠したかったのは彼女がジプシーであることを知られたくなかったから。そしてマイケルもそれに少し気づいたんだろうね。
だからジプシーの身である自分を隠すことが終身刑を受けることよりも彼女の中では重要だったと。

なるほど...教養が物を言う映画かも。行間を読む。ハンナがルーマニア出身って書いてある作者の意図を読む。

本を読むときの勉強になった映画だな...

そう考える少し私の中でハンナが救われた気がする。


2022年13本目/100
Holden

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