ブルーノ

愛を読むひとのブルーノのネタバレレビュー・内容・結末

愛を読むひと(2008年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 前半部分で描かれるマイケルとハンナのひと夏の恋模様は知的で美しく、ルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』を彷彿とさせた。特に二人で自転車を漕ぐシーンは、『君の名前で僕を呼んで』に匹敵する美しさだった。

 後半部分は、二人が抱えるどうにも出来ない気持ちや過ぎ去った年月に移入してしまい、大変参ってしまった。ホロコーストという人類史史上最も残忍な罪の1つをテーマにしながら、加害者側を同情させるほど深く掘り下げる姿勢には感服した。また、「罪を犯した人間はいつまで加害者なのか」という、現代にも通じる(むしろ公開当時より顕在化してきている)命題とともに、個人的には「被害者はいつまで被害者なのか」という問題提起もひっそり忍ばされていたように感じた。どちらも明確な答えがある問いではもちろんないし、映画のようにたとえ救いがなくとも悩み葛藤し続けるしかないのだろう。

【解説動画や考察を見たあとの気づき】

・ハンナはロマ族?文盲を隠したがるのはロマ族であることを隠すため?

・ケイト・ウィンスレットへの感情移入から薄れてしまっていたが、300人を見殺しにしたハンナの判断は明らかな誤りであり、それは文盲による無教養によるもの。劇中にも登場し自分も読んだことのある『ハックルベリー・フィン』は、黒人=奴隷という誤った常識ではなく自分の良心に従い正しい選択をする話だった。

・マイケルが父の葬儀に出なかったのは、父親も多くの親と同様ナチスの協力者だったから?時代背景的に、当時は親世代と子世代の断絶が凄かったらしい。
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