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コヤニスカッツィのバロウズのレビュー・感想・評価

コヤニスカッツィ(1982年製作の映画)
4.1
ドキュメンタリー映画ですが、ナレーションや説明は一切無し、タイトルの意味がラスト数秒にちょこっと字幕で説明される程度。
映像と音楽の力だけでここまで見る者に訴えかける作品も珍しいと思いました。

映画冒頭、古代遺跡の壁画から始まりモニュメントバレーの雄大な景色と雲や海の美しい風景が映し出される。かと思ったら突然の大爆発でキノコ雲が立ち昇る(水爆実験か何かかな?)
そこからは人間たちの生活に焦点を当て、建ち並ぶビル群や高速道路、そこで生活する人々をひたすら微速度撮影を使った早回しで映していく。
食品工場でベルトコンベアーに乗せられていく食べ物と、エスカレーターで運ばれる人々を交互に映したり、道路が張り巡らされた都市空間をコンピューターの集積回路と対比させているのも面白いと思った。
フィリップグラスが手掛けた音楽も秀逸で、次々と移り変わるシーンに違和感なく音楽を融合させている。

監督曰く、この映画は環境破壊がどうこうとかそういう説教臭いことを言いたいわけではないと。この映画を見て「大量消費社会はけしからん!」と思う人もいれば「技術の進歩って素晴らしい!」と感じる人がいる、
どちらも間違ってはいないし、映画を見て人それぞれ違った感想を持つのは自然なことだと言っていて説得力あるなーと感じました。
ただタイトルの意味を知ってしまうと「やっぱり今のままだとヤバくない?」と感じてしまう。これが80年代に作られた映画だからなおさら。

ちなみにプロデューサーにフランシスフォードコッポラの名前が使われていますが、名義を貸しただけで製作には関わっていないそうです。
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