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親分はイエス様のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

親分はイエス様(2000年製作の映画)
4.7
山政会若頭補佐の木原勇次(渡瀬恒彦)は、中森組との激しい抗争の日々に明け暮れていた。だが長引く抗争に次第に手打ちの気運が高まり、組に見捨てられた勇次は大阪へ身を隠すが、クスリに溺れ心身共にボロボロになってしまう。そんな彼を救ってくれたのは、教会の牧師(ミッキー・カーティス)だった。そして、牧師の「一度家族の下に帰ったほうが、良い」という言葉を機にクリスチャンである韓国人妻・盛愛(ナ・ヨンヒ)の待つ家に戻った勇次は、盛愛が帰依している教会で、ヤクザの志田(渡辺裕之)の「刑務所で教戒師に出会い、己の罪の十字架を背負い人生をやり直したい」という話を聞き、贖罪の為、十字架を背負って日本を縦断したいと考えるようになり、妻・盛愛や牧師木村(中村嘉津雄)の手助けの下で日本縦断リバイバル十字架行進と銘打ち、故郷・鹿児島県の教会をスタート、道行く人々に罪の告白をしながら、行進を始める。途中、心に傷を抱えた民宿の主人・玉城(渡辺哲)やチンピラ、トラックの運転手(ガッツ石松)が参加。また道中、宿命のライヴァル、中森組若頭補佐・島(奥田瑛二)と決着をつけることにもなった。やがて、東京へ帰って来た勇次は、今度は妻の故国である韓国をゴールと決め、新たな旅立ちを決意。そしてその地へ赴いた彼は、結婚に反対していた妻の父親と会い、許しを得るのであった。
型破りな牧師アーサー・ホーランドが主宰し、元ヤクザの牧師や神学生やキリスト教信徒が集い、十字架行進などの伝道活動をするキリスト教団体のメンバーの体験談を記したノンフィクション「刺青クリスチャン」を元にした映画。
前半は、木原勇二や島や志田がヤクザ社会や抗争の中でヤクザ社会に使い捨てられ追い詰められていく様を実録ヤクザ映画のタッチで描き、木原が家族のために再起を掛け十字架行進を決意し実行していく後半は北野武監督のロードムービーのようなユーモラスでハートウォーミングなタッチで描くストーリーの中で描かれるのは、十字架刑に掛けられるキリストのように木原たちが十字架行進をしながら己の罪を告白し贖罪と社会復帰の決意を宣言する中で自分の罪や弱さと向き合い生き直していく崇高な生きざまと夫が改心し生き直していくことを信じた妻の献身そして「人生は間違いに気づいた時にやり直していくことが出来る」というメッセージ。渡瀬恒彦、奥田瑛二、渡辺哲、渡辺裕之など演技派俳優の熱演、十字架行進でのそれぞれのキャラクターの「自分の罪と向き合い人生をやり直したい」という強い決意と夫を支える妻の献身が印象的。
「十字架はな、他人のためじゃない、自分の心のために担ぐんだ」
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