なべ

エターナル・サンシャインのなべのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
3.8
 ロマンチックめいたジャケットを見て、ジム・キャリーのラブロマンスなんて1ミリも興味ねえわとうっちゃってた。
 ところが独盤スチールブックのジャケット観てびっくり仰天! まあ見てみて↓

https://www.amazon.de/gp/aw/d/B086PQXNGJ/ref

 日本盤と全然違うやん。このイメージなら観てみたい、いやライブラリに加えたいーーそう思って調べてみたら脚本がカウフマンじゃないか!
 あいにく届いた独盤はリージョン違いで再生できず、慌てて国内廉価盤を購入。円盤を載せ換え、日本盤のジャケットは即ゴミ箱へ。
 最初こそ、よくあるボーイ・ミーツ・ガールなのだが、え、なんで?を経て、わぁマジかー!とカウフマンな摩訶不思議ワールドに突入。

 …そう来たか。

 恋愛と記憶という相性のいい要素を、ちょっと意外なSF的手法で見せてくれるのがいい。
 強情で意地っ張りなせいで破局した2人が行った記憶の消去。個人の脳内で起こる「なかったことにする」作業がとてもアクティブでドラマチック。施術で消されていくピンポイントの記憶がどれもこれも瑞々しいのだ。2人の恋愛の軌跡がいいことも悪いことも無常に取り除かれるのが切なくてつらい。
 思い出の中をさまよってるうちに、クレメンタインとの記憶の価値に気づき、抵抗を始めるジョエルが涙ぐましい。
 この話、恋愛ものとしてもすごくいいじゃん!もちろんSFとしてもよくできてる。
 受付のキルスティン・ダンストのエピソードも本編を盛り上げるための補足としてうまく機能してるし、イライジャ・ウッドの変態クズっぷりもなかなかのものだ。あの誠実なフロドがこんなアホな役で光るとは思ってなかった。いい目つきしてるよ。
 こんなにいい映画を見逃していたとは。繰り返し視聴に耐えうる強度を持った作品だった。
なべ

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