愛

エターナル・サンシャインの愛のレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.7
こんな風に記憶を消せたらと思う相手は、好きだけど離れなければいけなかった相手のこと。やり場のない好きは彷徨い、自分を消耗してしまうだけ。こんなことならいっそ消してしまいたい。
"友達以上恋人未満"というのは愛情の顔をした同情の上に成り立つ都合の良い関係でしかなくて。お互い踏み込みすぎないから壊れないだろうという安心感の中で、ただ傷を舐め合う。足を絡め合っていつまでも抜け出せないベッドと同じ。その時だけは気持ち良くぬくぬくしちゃって、外に出れば認められない現実が頬を刺す。

すべてはタイミングだ。こんな怠惰、どちらか一方がきっかけを作って腹を括らねば。都合が良いだけの彼等は、未曾有の災害や地震が起きた時真っ先に安否確認の連絡をくれるわけではない。ただ外を歩くだけのデートやあてのないドライブもしない。それなのに、それなのに。
この好きを無かったことにしてほしい。

"Blessed are the forgetful, for they get the better even of their blunders."

思い返せば終わりなき衝動と破滅を繰り返し、この永劫回帰を享受してきた。永遠の愛を求め諦めないのは忘却と共にあるが故。

"How happy is the blameless vestal's lot! The world forgetting, by the world forgot. Eternal sunshine of the spotless mind! Each pray'r accepted, and each wish resign'd."

自分の"Eternal sunshine of the spotless mind"に出会えばその人のために、小さく裏切り続けたり些細なことでも傷つけたりする可能性がある事を全部潰したいと思える。
好意の予感に「会いに行かねば」と感じ、その人を想うだけで温かい気持ちになったり出会えてよかったという歓びで満たされたりする。私の夢に当然のように居続け、明るい未来を想像するに容易い。
そんな根拠のない自信と直感の答え合わせをしながら進み続けないと、誰かを愛する勇気を無くしてしまうよ。

悩み選択ができる恵まれた環境に感謝して、自分を大切に。今年も書くことが尽きない一年でありますように。決しておめでとうと言い難い新年、皆が心穏やかに過ごせる日が少しでも早く訪れますように。
愛