三条狼

エターナル・サンシャインの三条狼のレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.0
もともとカイリー・ミノーグの Come Into My World のMVが大好きで、この「エターナル・サンシャイン」も大好きでDVDも持ってたというのに、なぜかいつも私の記憶から消えてしまうのである。この感想を書くまでの1週間ほどでもう結末の記憶が消えてしまってさっきもう一回見直したくらい。なんで? 私もラクーナ社に行ってんのかさては。

というわけでミシェル・ゴンドリーの映像術とチャーリー・カウフマンの脚本術を同時に楽しめてしまうこの映画、テーマは忘却と愛です。
カップルとしてうまくいかなくなってしまった女性が記憶を消してくれるラクーナという会社に衝動的に行って、恋人の記憶を消してしまう。この時点でまずやばい、なんやその会社。
そしてその事実を知った彼もラクーナに赴き、彼女の記憶を消すことにする。やばいやばい。

こんなやばい筋書きでなんでこんな映画になるのか、何回見ても分からない(というか何回見ても忘れる)。ふたりの関係が本当に終わる、傷つけ合うというしんどい場面をたくさん見るのだけれど、でもというかだからこそなのか、在りし日の光に包まれたようなふたりの姿が強烈に輝く。一度でも恋愛を経験していれば誰の胸にも響くものがきっとあると思います。あとどなたかも同じこと書いてたけれども、別れる寸前のカップルはこれ見たらたぶん別れないと思います。

私はひととお付き合いを始めるとき、「その人の姿が変わっても愛せそうか」「突然経済的な困難に直面してもともに頑張ろうと思えるか」あたりはよく考えるのだけれども、そういえば「記憶が消えてもまたその人に恋をするか」は考えたことがなかったなあとふと思うなど。
正直記憶を消したいひともいるけれど、今の私にとってもそれはやっぱり大事で必要だから、ラクーナ社には行きません。
三条狼

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