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ドラえもん のび太とアニマル惑星のArts0001のレビュー・感想・評価

3.2
ドラえもん映画のエンディング力!

黄金期のドラ映画の中では、今一歩という評価をせざるを得ない作品ですが、良さは確かにあります。

まず、唐突な不気味演出でOPが始まるのはいつもの良さが出ています。夢か現実か分からない不思議な靄を抜けるとおとぎの国がある。
そして、神話を通じてニムゲという怪物の話を聞く。序盤の展開は◯でした。

が、しかし。物語の展開の遅さと、後半に駆け足で物語を畳みに行った感じがして△でした。

動物達の星で移動する展開が何度もあります。
最初にのび太、次にドラえもんとのび太。次にドラ、のび、しずか。
次にジャイアン、スネ夫が迷う。ジャイアン、スネ夫がさらに異星に行く。

その後に一旦地球に戻ってからまた動物の星にに戻ってくる。

のび太がさらに異星に移動して、そこから戻ってくる。

地球に帰還。

ちょっとウロウロしずきて、目まぐるしい気がします。特に序盤から中盤はどこかポイントを削った方が物語が少し早く進む気がしました。


後半。のび太がツキノツキというアイテムを使って、さらわれた犬の女の子を助けに行く展開があります。
このツキノツキの主成分はゴツゴウシュンギクという草を使ってるとのこと。

そう。ご都合主義を道具にしてしまいその後の物語をいい感じの展開にするという。ドラえもんの道具もここまで来たか!と逆に感心するツイストをかましてきます。

この道具のおかげで異星での展開をスピーディーにして、最後に助けにくる宇宙艦隊とのフラグも立ててきます。

ラスト。ニムゲ艦隊が襲ってきます。
今まで散々バカにしてきた空気砲を使って艦隊の半分を撃ち落としたところは笑えました。
まだ余裕がありそうだけど追い詰められてきた感が出てきたら、前述した宇宙艦隊が助けに来てくれて一件落着。

実はここからがこの映画の一番良いところ。

唐突に場面転換したと思ったら宇宙救命ボートで地球に帰り始めます。

さよならも言わずに出て行ったのび太達を、犬の子供チッポが自転車で追いかけて来ます。

宇宙救命ボートが発車し、みるみる小さくなるチッポ、そして小さくなる動物達の星。バックに流れる武田鉄矢の歌。

そう。これがドラえもん映画のエンディング力なんです。

途中いろいろあったけど良いシーンで終わればなんか良いものを見た気がする。
ドラえもん映画は共通してエンディングの別れや帰還の喜びを描くのがうまいのです。

なんか良くまとまってたなーという印象を持ってしまいそうなパワーがある作品でした。
見直して見て中盤の雑さに驚いたぐらいです。でもそんなところも好きな作品です。
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