emily

エレベーターを降りて左のemilyのレビュー・感想・評価

エレベーターを降りて左(1988年製作の映画)
3.4
画家のヤンはフロランスに一目ぼれ。彼女を一目見るためだけに待ち伏せしたりする。彼の隣にはボリスとその同棲相手エヴァが居る。ある朝ボリスが忘れ物をし追いかけて下着で外に出て、そのまま締め出されてしまうエヴァ。お隣のヤンに助けを求めるが、ボリスには浮気と誤解され、そこにフロランスもやってきて、というドタバタ劇が繰り広げられる。

舞台のほとんどがエレベーターを降りて左にあるヤンの部屋で繰り広げられる。そこに舞台が移るまでは、フロランスとの出会いや、ボリスとエヴァの関係性などをサラッと、しかし激しい動きとドタバタ劇で描き、チャイムの音とともに、さまざまな訪問客がやってきて、一つの誤解が大きな誤解、また殺人未遂的な展開にまで発展してしまう、わかりやすくベタな展開だが、しっかり構成されており、最後まで飽きずに見ることができる。

本作の見どころは何と言ってもエマニュエル・ベアール の華麗な美しさである。下着姿やバスタオル一枚で豊満なボディをだし、ウィスパーボイスと発狂声のギャップに見事に翻弄される。

部屋を呼び出すチャイムの音とドアのばたんと閉まる音、同じ動作の繰り返しや、人の入れ替わりなど、スピード感とリズム感が陽気な雰囲気を引っ張り、ライトなタッチから銃の出現、警察沙汰にまで。男女の駆け引き、女のずるがしこさ、男の情けなさなど個々の建前と本音が皮肉にもしっかり浮彫になるのがいい。喜劇からハッピーエンドへエスプリ満載の爽快なラストに心躍る。
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