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タレンタイム〜優しい歌の346のレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
4.7
あんまり映画を勧めてこない良心的なシネフィルの人に、熱く語られて意外だったので観に行った。まぁ、泣いた笑。

いやぁ。それにしても、登場人物がみんな心をさらけだして生きていた。自分はそんなふうに生きてないし、教わってこなかった。弱さを人前に晒してはいけないって育てられたのに、彼ら彼女らをみて、それが間違いだったと気付いた。みんな繊細な心を冷たい雨にさらして、それでも僕を私をみてほしいと泣いていた。生きていた。

人と人の違いなんて、心に纏う1枚の布切れでしかないのに、そんなものを頼りにして、自分を確かめて、一喜一憂するなんて馬鹿だった。人は人と繋がるために心をさらけだせなきゃいけないんだ。それが痛みを伴うものだとしても。


タレンタイムには美しい台詞も多くあった。
「出会ってまだ数日でしょ?」
「でも、愛は月よりも先にあるんだ」
なんて、返しとして正しいかわからないけど、愛は生まれるものじゃなく、愛はずっとそこにあるんだよね。気付くか気付かないかの話で。だから出会ってからの日数なんて関係ないだよな。いいなぁ…。

でも、このポスターだけは不満。
風風恋塵のような男女の話だけじゃないもの。でも、そうして、ライト層を呼び込もうとしてるのかもしれないけど、間違いだと思う。群像劇だから、1枚で表現するならどこかを切り捨てなきゃいけないのも分かるけど。他になかったかな。でもよく考えたらこの映画は核となるようなシーンはないのかも。かといって、淡い映画ではない。すごく尖ってる。魂が震えてる。

あのクライマックスで泣かない人なんていないと思う。本当に素晴らしいシーン。いや、もうなんて形容すればいいのか全く分かんないんだけど、もう「あのシーン観てよ」って言うだけで泣けてきてしまうレベル。あんなに美しいシーンは他にないかも。いや、これもっと人に観てもらうべき。ソフト化してない意味わかんない。いやまじで。勧められるまで存在も知らなかったし!
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