かなり久しぶりに鑑賞。
もちろん、細かいディテールまではまったくと言っていいほど覚えていなかった。
やはり本作が映画出演3作目とは思えない三船敏郎の存在感に圧倒される。
最後に女学生に主人公・真田が言う台詞、
「人間に一番大切な薬は"理性"だ」は、その後の黒澤明作品の独創性を思うと少々優等生的な説教臭さも感じるが、しかしそれによってこの作品に通底する、戦後まもない頃特有の殺伐とした感じ…デカダンな雰囲気に一筋の光が差しているのも確かで。
今観ると後の漫画やドラマ等でゴマンと見受けられる、アウトローでありながら、市井の民の味方である医者… というキャラクター設定はこの作品がモデルなのもよく分かる。
劇中で黒澤監督自身が作詞した曲を歌う笠置シヅ子など、資料的価値の高いシーンも多い作品。