♪ 嵐を 空へ 轟かす ギブソン
大地を震わす マグマのドラミング
音楽は自由だ!
音楽は死なない!うぉー!
と、思わず両手を天に突き立てたくなる作品でした。
やはりね。何事も規制は“悪”ですよね。
かつてのイギリスでは「ポピュラー音楽は悪」として規制されていたそうですが、それは自らの価値観に拘泥した“保守派”の過ちであり、基本的に縛られる理由などないのです。
特に音楽は生命のリズムに直結した存在。
細胞が刻むビート、神経を繋げるメロディ、心が求めるハーモニー。それは食欲や性欲と同じくらいに大切なものです。
それが自分の中で感じられるのであれば。
本作で“泣かない”なんて選択はありません。
バカバカしいほどに強くて。
バカバカしいほどに優しくて。
「この海で一番自由な奴が海賊王だ」と超有名マンガの台詞ではありませんが、自分を大切にするから相手を大切にする…という原理原則を貫く姿は涙腺が弛むのが当然。
確かにちょっと下品…ですけどね。
漢の友情風味にクセがありますけどね。
その辺りは個性の範疇。塩味なのか味噌味なのかの違いだけ。あと、これは常識ですけど、らーめん二郎は国民食です。異論は認めません。
仕上げたのはリチャード・カーティス監督。
『ラブ・アクチュアリー』や『アバウト・タイム』を手掛けた御方ですね。そりゃあ“イイ話”になっているのも至極当然。相も変らぬ辣腕っぷりでした。
勿論、役者さんたちも地味に豪華絢爛。
フィリップ・シーモア・ホフマン、ビル・ナイ、ニック・フロスト…そんな彼らの良い部分をマルっとサルッと引き出すのが名監督の条件ですからね。誰も彼もが最高でした。
まあ、そんなわけで。
一歩引いてみればベタな物語だし、悪役の存在意義が微妙ですけども、本作を冷静に捉えるのは損な話。積極果敢に脳髄を焼ききって、リズムにダイブすれば良いのです。それがロックンロールを味わうコツ。
イエーッ。