くりふ

魔法の剣のくりふのレビュー・感想・評価

魔法の剣(1961年製作の映画)
3.0
【ネオ東京12チャンファンタジー】

アマプラ見放題にて。

“ミスター・B.I.G.”こと巨大大好きバート・I・ゴードン監督が、等身大の生首映画『空飛ぶ生首』を撮っていた事にも驚いたが、こんなふつーのヒロイック・ファンタジーもやってたのか!実は器用なんだ。…てーことで、見てみたが。

こんなん昔々の東京12チャンネル、土曜の昼下がりによく放映していたなあ…と思いながら眺めだすと…ちょっと違う。どうやらヒロイックの部分はコメディに要変換だ。カナリのスットコで、しかし一周回って逆に新鮮で、トコロドコロ面白い!

“聖ゲオルギオスと竜の伝説”が元ネタだが、キリスト教が脅迫布教に利用した歴史などスッカリ忘れ、スットコ痴話喧嘩と恨み節となる、本ネタの元ネタとして悪用されています。

その痴話喧嘩のお陰で、ずーっと石にされていた、“世界で最も勇敢”とは名ばかりの騎士6人がせっかく人間に戻ったのに…ウッカリ、次々殺されてゆく物語。アホだけど、シュールだと思い込めばアラ不思議、エド・ウッド映画のようにトコロドコロ、面白いではありませんか!

中では、ちゃんと無意味に“進撃の巨猿”が登場し、B.I.G.ブランドを刻印するので感動しました。あと、ドラゴンはちゃんと造形してますね。チクッと刺されてスグ、永眠しちゃいますが。

“ミスター・B.I.G.”だからこそ逆に、“スモールな存在”に特異性を出しているのも興味深く。

お姫様は、レイア姫よりは美人ですね。全裸遊泳で登場するおもてなし力も、レイア姫より上等です。とんがりブラは、この時代のデフォルトでしょうか。因みに、ラストシーンだけはSWⅣ『新たなる希望』の元ネタと言えましょう。

見どころは特になく、この感覚が美味しいか不味いかだけかと。私は、古くとも永い時間と共に“見られ方”が変化し、面白さが再発見できる…というのも映画ならではの愉しみと思っていますが。

<2023.11.5記>
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