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ママと娼婦のbennoのレビュー・感想・評価

ママと娼婦(1973年製作の映画)
5.0
ず〰︎〰︎っと待ちに待ったジャン・ユスターシュ…念願叶いようやく鑑賞出来ました…⑅⿻

想像していた以上…遥かに…ⳣ₹❤︎” !!! …ෆ* 4Kで鑑賞したのですが、オリジナルのジャケ写が好きなので…敢えてそちらを選びました…ෆ*

あくまでも私の好みで、確実に万人受けする監督さんではありません…。


パリに暮らす都会人の作品ではロメールを想起しますが…より生々しく、華やかさよりはスタイリッシュに現実味を増し、気を衒わない映像が惚れ惚れする程魅力的…。


1人の男と2人の女の奇妙な関係を3時間40分という長尺で赤裸々に描きます…ただ飽きることなく、寧ろ物語の中を漂っている感覚…。


ママのように大きな愛で見守る女…
  娼婦のように誰とでも寝る女…
  ママと娼婦の間で怠惰な愛に溺れる男…


パリに住み、定職もお金も人生の目標もなく…無為な毎日を送るナルシストのアレクサンドル(ジャン=ピエール・レオ)…彼はブティックを経営する歳上のマリー(ベルナデット・ラフォン)と同棲…というより居候…。

ある日、アレクサンドルは行きつけのカフェでヴェロニカ(フランソワーズ・ルブラン)という女性に声をかけナンパ…そのことをわざわざマリーに報告…。

やがて、ふたりの生活にヴェロニカが入り込んで、3人の奇妙な関係が始まります…。


兎に角、膨大な台詞…主人公を演じるレオの飄々とした風貌とは裏腹に、彼の挙動と表情が実に面白可笑しく惹きつけます…時にフレールの♬ La chanson des fortifs のレコードと一緒に歌ったり、また、口笛を吹く仕草がとても子供っぽくお茶目…清濁併せ持つ女性たちに対しタジタジな様子もレオにピッタリ…。

ファッションもネクタイの代わりにスカーフはなんともフランス風…ブティック経営のマリーの着こなしもパンツスーツに注目です…。

何より今作はフランス語の語感や抑揚がとても心地良く、台詞が面白い…。

そしてオッフェン・バックやモーツァルトのクラッシック音楽…M. ディートリッヒ、ピアフ、ツァラー・レアンダー、ダミアのシャンソンも甘美…。



  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜









舞台は1973年のパリ…アレクサンドルは1968年の5月革命の影響をカウンターカルチャーとして、もろに受けたことが窺えます…その為、彼の口から語られるものは厭世的で、先の希望が見出せない虚無感がひしひしと伝わります…そして纏わりつくタナトス…。

« Donc il faut manger tiède et mou! »
     生温くて柔らかい食べ物が一番!

なんて彼らしい台詞…。

やがて…疲弊し切った彼らの行き着く先は…。


今作の主人公は紛れもなく監督自身を投影…

« Mourir, narcissique!! » 死ね、ナルシスト!!




1981年、ジャン・ユスターシュ監督はピストル自殺…享年42歳 ໒꒱⋆゚
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