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ママと娼婦のandesのレビュー・感想・評価

ママと娼婦(1973年製作の映画)
3.7
ポスト・ヌーベルバーグの旗手、ユスターシュの代表作で大長編。かったるさを警戒していたが意外と「観れる」ことにまず驚いた。喋りまくるレオーを中心に会話劇がかなり面白く、場が持ってしまう。ここは評価できるポイント。
正直、この作風で4時間近く飽きさせないので、合格点ではある。ただ、会話や台詞に比べると、印象的シーンや効果的なカットが意外と少なく、ヌーベルバーグらしい「引用」も可もなく不可もなくというところ。
個性的なキャラクター描写が話を引っ張る前半と比べると、各人のメッキが剥がれる後半は話の推進力が少し落ちてしまうように感じる。話としては「深堀り」しているだけど、あのラストを考えると、冗長な「語り」が多い気がする。もう少し刈り込んでキレ味をだすか、逆に深堀りするなら4時間超えでも良かった。3時間40分が逆に中途半端にしていると思う。
おそらく、60年代フランスの「革命」が幻想に終わった同時代性も強いのだろう。レオーのナルシスティックな小物感には当時の人達にとって、感じるところは大きかったとも思う。この辺の「グダグダ感」は後追い世代は想像するしかないのである。
さて、後世への影響の大きさは計り知れない本作。ウディ・アレンなんかモロじゃないかな。あと、「恋人までの距離」なんかも思い出したり。
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