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ママと娼婦
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目次

ママと娼婦が配信されているサービス一覧

配信サービス配信状況無料期間と料金
ザ・シネマメンバーズ見放題初回7日間無料 880円(税込)
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ザ・シネマメンバーズ

ママと娼婦

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ザ・シネマメンバーズ
配信状況無料期間と料金
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880円(税込)初回7日間無料70作品以上可能1端末-
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『ママと娼婦』に投稿された感想・評価

benno

bennoの感想・評価

5.0
ず〰︎〰︎っと待ちに待ったジャン・ユスターシュ…念願叶いようやく鑑賞出来ました…⑅⿻

想像していた以上…遥かに…ⳣ₹❤︎” !!! …ෆ* 4Kで鑑賞したのですが、オリジナルのジャケ写が好きなので…敢えてそちらを選びました…ෆ*

あくまでも私の好みで、確実に万人受けする監督さんではありません…。


パリに暮らす都会人の作品ではロメールを想起しますが…より生々しく、華やかさよりはスタイリッシュに現実味を増し、気を衒わない映像が惚れ惚れする程魅力的…。


1人の男と2人の女の奇妙な関係を3時間40分という長尺で赤裸々に描きます…ただ飽きることなく、寧ろ物語の中を漂っている感覚…。


ママのように大きな愛で見守る女…
  娼婦のように誰とでも寝る女…
  ママと娼婦の間で怠惰な愛に溺れる男…


パリに住み、定職もお金も人生の目標もなく…無為な毎日を送るナルシストのアレクサンドル(ジャン=ピエール・レオ)…彼はブティックを経営する歳上のマリー(ベルナデット・ラフォン)と同棲…というより居候…。

ある日、アレクサンドルは行きつけのカフェでヴェロニカ(フランソワーズ・ルブラン)という女性に声をかけナンパ…そのことをわざわざマリーに報告…。

やがて、ふたりの生活にヴェロニカが入り込んで、3人の奇妙な関係が始まります…。


兎に角、膨大な台詞…主人公を演じるレオの飄々とした風貌とは裏腹に、彼の挙動と表情が実に面白可笑しく惹きつけます…時にフレールの♬ La chanson des fortifs のレコードと一緒に歌ったり、また、口笛を吹く仕草がとても子供っぽくお茶目…清濁併せ持つ女性たちに対しタジタジな様子もレオにピッタリ…。

ファッションもネクタイの代わりにスカーフはなんともフランス風…ブティック経営のマリーの着こなしもパンツスーツに注目です…。

何より今作はフランス語の語感や抑揚がとても心地良く、台詞が面白い…。

そしてオッフェン・バックやモーツァルトのクラッシック音楽…M. ディートリッヒ、ピアフ、ツァラー・レアンダー、ダミアのシャンソンも甘美…。



  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜









舞台は1973年のパリ…アレクサンドルは1968年の5月革命の影響をカウンターカルチャーとして、もろに受けたことが窺えます…その為、彼の口から語られるものは厭世的で、先の希望が見出せない虚無感がひしひしと伝わります…そして纏わりつくタナトス…。

« Donc il faut manger tiède et mou! »
     生温くて柔らかい食べ物が一番!

なんて彼らしい台詞…。

やがて…疲弊し切った彼らの行き着く先は…。


今作の主人公は紛れもなく監督自身を投影…

« Mourir, narcissique!! » 死ね、ナルシスト!!




1981年、ジャン・ユスターシュ監督はピストル自殺…享年42歳 ໒꒱⋆゚
菩薩

菩薩の感想・評価

-
大変ダラダラとしている、倦怠と言うより怠惰と評した方が良い、堕胎にも似ているし。特に何が起きることも無い、朝起きる、カフェに行く、酒を飲む、SEXをする、夜眠る、間に喋る喋る喋る、音楽を聴く、泣く、と言ったところか。SEXに関してはもはやゲシュタルト崩壊寸前である。もしこの作品及びガレル『恋人たちの失われた革命』、ベルトルッチの『ドリーマーズ』なんかでオールナイトでも組もうものなら、世界からSEXの概念そのものが消滅する(俺の世界からはとうに消えている)。ママと娼婦、母親とは娼婦で無い者を指すらしいし、それは裏を返せば娼婦とは母親で無い者を指すとも言えることになる。とまぁはっきり言ってそんなものも男性から見た勝手な戯言に過ぎず、性的に欲求される女性、性的に欲求する女性、そのどちらもが当然女性なのであり、この作品の女性二人も、どちらがどちらという事も無く、ただひとえに女性であろう。フランス語でオーガズムに達する事を「小さな死」なんて言う(らしい)わけで、ってなると当然バタイユが出てくるがそこはめんどいから割愛して、あの最後のレオの顔を見てしまうと、結局「小さな死」どころか、完全に男性はSEXによって殺されるんじゃないかなんて思ってしまう。オーガズムも睡眠もそれは死の疑似体験に過ぎず、崩壊→変態(メタモルフォーゼの方)を経て、母から出し者は再び母を手に入れようと邁進を続ける。自分語りが出来る者と、語っている様で何一つ語れていない者、68年以降の空気感であり、焦燥ないし諦観を封じ込めた一つの傑作なのかもしれないが、220分の尺中約20回計20分くらい寝ただろうから、採点からは逃避する、男らしいでしょ、そこんとこがまた。
pika

pikaの感想・評価

4.5
長いんだけど見事なほど下がることなくジワジワと右肩上がりに面白くなっていくので飽きないしどんどんのめり込まされる。
ドラマを見せるのではなく価値観を揺さぶる映画は見てる側の固定概念を剥がしていかねばならないわけで、この長尺は必要な長さであり無駄な部分は一切ない。

クライマックスの立場逆転劇は淡々としているのに凄まじく、真正面から顔を捉えただけのショットなのに言葉と共に演出でも雄弁に語り尽していて凄い。
演出や装飾のための音響や音楽のない生の収録で映画的な手を加えないことが非常に映画的な見応えになっていること、文学的ですらある台詞の応酬とその積み重ねの先にある哲学性など、ユスターシュの現実をそのままリアルにカメラに収めた自伝的映画という、自伝映画の中でも徹底されまくった制作手法であるのに「人間とは、生きるとは」と語りかけ問うほどに汎用性のあるリアリズムを抉り出してしまう手腕が凄いし、それによる作品の意義深さがハンパない。
シンプルで単調なショットの連続だからこそ変化をつけた時に演出がダイレクトに響いてくる繊細な演出、荒く潰れたモノクロ画面の中で抑揚付けられた美しいショットが目を奪い感情を刺激する。


何気ない台詞の延長の末にあぶり出される人間心理、会話のようでいて常に独白になっている人間関係のリアル、突飛にも過度にもせず日々の延長のようにダラダラと会話だけを切り取ることでより一層生々しい心理をえぐり出す。

恋人がいるにも関わらず出会いを求め、愛し合ってしまう、形式的だった男女関係が崩れ、男とは女とは愛とは性とは生きるとはまで「こうあるべき」と固められた固定概念が1枚ずつ剥がれ落ち、真理とも言うような根本的な感情が丸裸にされていく。
挑戦的な「ママと娼婦」という題名自体の持つミスリード的な意図は、人もイメージも、深く知りもしないのに決められるものじゃないという、自身の狭小な価値観で他者を決めつけ、イメージの中にある「愛し方」を求めてしまっているという示唆なのか。


徹底した自己愛と本能を相手にぶつけ、さらけ出すことで相手と愛し合おうと願う。思い遣り気遣う愛を愛と言うのか、感情をさらけ出すことが愛なのか、定義や概念が少しずつ剥がされていき、何が正しく何が間違いなのかがわからなくなる、と言うそれこそが本質とばかりな感覚に包まれる。
表に出さない本音をまざまざと見せつけられることで願望(幻想)から目覚め、現実に直面する、そこに「狂気」を見る。他人の中で自分を見ることと同じだ。
「市井の人々」と呼び、階級のある世の中で労働とは無為なものだと語る怠惰な男は五月革命以降の世代を反映しているそうだが、現代でも地続きな精神であるし他人事でも虚構でもない。
アレクサンドルは人を非難し自己肯定する言葉とは裏腹に例え話や聞いた話ばかりでまるで中身がない。本質を付かれれば無責任に逃げる。
嫉妬に狂うマリーも、性に奔放なヴェロニカも、三者三様に愚かだが、他人事などと投げられるものではなく、誰もが持っている面を端的に表現しているかのよう。

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