フェミ研ゼミ

マイ・ブルーベリー・ナイツのフェミ研ゼミのレビュー・感想・評価

5.0
大学生の時見た時は、王家衛の映画だからとか、ジュードロウが出ているから観たんだけど。
王家衛ぽくない映画だなと思って
その後は感動するでも退屈もせず。
物語をただ見届けたという記憶だけ残っていた。
その頃の私はジュードロウに恋していたので、
失恋直後にカフェでこんな素敵な店員さんと仲良くなってチューされるなんて都合良すぎだよ。
という冷めたような若過ぎる感想しか持てなかった。


そんな頃から気が遠くなるくらい時間が経った最近、
暇つぶしに観た邦画で同じような展開があって久しぶりにもう一度観てみようと思ったのです。
そしたら、なんて素敵なストーリーなんだ。ってやっと気付きました。
めちゃくちゃ王家衛だった。

嗚呼なんて素敵なんだろう。ため息でちゃった。あの頃この素敵さを感じ取れていたならなあと残念に思った。

あの二人、一人と一人でがふたりになるのには、関係なさそうな沢山の他人が必要だった。
自分が心地よく居られる場所、そこに居たいと思える場所を知るために、彼女は沢山の他人と沢山の地を知る必要があって、
あの頃なんの話か分からなかった関係なさそうな他人たちのストーリーがグッと愛おしく眺めていられた。

“関係なそうな他人のストーリー”ってのは映画だけの話じゃなくて、自分が立っているこの現実で生きる上でも実はめちゃくちゃ重要なんだよな。
自分の欲する場所とか道、いろんな相棒にたどり着くためのストーリーなんだ。

そう思うと、この映画の素晴らしさに気付くまでかかってしまった気が遠くなるくらい長い時間は、映画の中の彼女と彼が再び出会うまでの不可欠なストーリーのような時間だったのかもしれないなあ。と思う。

そんな風にすら思える。
愛おしくて愛おしくてたまらない映画だ。
やっぱり王家衛の映画大好きなんじゃん。私。

嬉しく嬉しくて誰かとどこかで乾杯したい。
誰かの関係ない他人のストーリーとして登場したいよ。

こんな告白みたいな感想を書くのに1ヶ月もかかっちゃうんだから。本気だよな。
恋してるわ。この映画に。
フェミ研ゼミ

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