April01

ベスト・キッドのApril01のレビュー・感想・評価

ベスト・キッド(1984年製作の映画)
3.6
みんなきっと感動だよね、自分ももちろん感動なんだけど。ごめんなさい、正直笑いながら見てた😆本作の主人公、ミヤギでしょ!!!って思いながら。

日系アメリカ人で構成された第442連隊戦闘団に所属して戦争を戦い、辛い過去を内に秘めたミステリアスな孤独な老人なんだけど、ノリユキ・パット・モリタさんが、とぼけた風貌で演じることにより、リアルな日本人風味を出していて、それが悲壮ではなく、コメディタッチに見えることにより感動が増すという、ユーモアの王道を見せてくれると思う。

序盤で笑ったのは、ミヤギが、「後で」とダニエルに言うんだけど、日本的な感覚でafterと繰り返し言って、ダニエルが意味わからずに確認しても絶対直そうとしない。本当はlaterが正しいんだけど、結局afterで通してしまう。
日常会話に支障はないけれど、決してネイティブに近づかないジャパニーズ・イングリッシュで通しているところが面白すぎる。
しかも、よいしょ、とか、よし、とか、はい、とか完全に脳内日本語だよねっていう。

日系人ということで言えば、MCUの「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」で第107連隊にジム・モリタという日系アメリカ人役(コリアン系俳優が演じているけれど)がいて、スティーブに日本人か?と聞かれて、フレズノ出身だ!と誇り高く宣言する場面が印象深い。
そのモリタの孫が「スパイダーマン・ホームカミング」で校長となってる設定だから、日系人というカテゴリが源流から連綿と続いているようにも感じられる。

アパートメントの修理工として管理人をしてるミヤギは意外に金持ちで驚く。それは中盤で出てくるLAの別宅で明らかになるんだけど、序盤で高そうな盆栽を2つもダニエル親子にあげてしまうし。あの車のコレクションはディーラー兼業?

さらに住居ということで言えば、同じLAでもダニエルの住むResedaとアリの住むEncinoは、地域格差が貧富の象徴となり切ない恋愛の壁として王道なストーリー展開。
ちょっと太めにも見えるアリに対してダニエルがヒョロヒョロすぎて栄養失調気味にもみえるのが余計にリアル。
この恋愛が変にウェットすぎないのも、ミヤギのセリフじゃないけど、良い「バランス」となっている。

終わり方が唐突なのも良い。後日談とか一切なし。それが変な感傷とかに流されることなく、ドライにスパっと切れてエンドロールに入ることにより、細かいことを詮索せずに気持ち良い余韻に浸らせてくれることが本作の魅力の1つになっている。
改めて終わり方って大事だな、と感じる。
April01

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