みーちゃん

ゆれるのみーちゃんのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.1
親子像、兄弟像が、あまりにも分かりやすくデフォルメし過ぎな気がしたものの、事実を描くところと観客に委ねるところのポイントの置き方が良かった。普通ならこれは真逆の構図になるのかもしれない。

だから吊り橋の上の顛末も、バスに乗ったかどうかも、はっきり言ってどちらでもいい。私にとって重要なのは、そこではないと分かり納得した。

弟目線で描かれているから弟目線で書くと、彼が一生背負う罪は、最初の証言も、最後の証言も、自分を正当化したことにあると思う。

更に言うと、子供の頃の映像を見て急に感傷的になったのも、新たな事実が見えたのも、兄を迎えに行ったのも、ただの気の迷いかもしれない。なぜなら、あの親子、あの兄弟が、もしまた一緒に暮らし始めたら、きっと、ほんの数日間で事実はまた上書きされ、以前のように、いや、以前よりもっと互いを嫌い、憎しみ合うだろう。

そんな、どうしようもなく、抱えながら生きていくしかない"業"みたいなものが濾過され、真実が残った。