吊り橋で起こるひとつの事件とある兄弟の物語です。
心の奥底に黒く澱んだ嫉妬や、悪意に満ちた怒りを抱え生きている登場人物たち。まるで自分だけが醜く、捻れた存在であると嫌悪するかのようにもがき続けます。それでも彼らはそれを隠し続け、平然を装う日常。
そして一人が闇を暴いた瞬間、「揺れ」の連鎖は右へ左へ、前へ後ろへ、未来へ過去へ、嫉妬と愛情に、真実と偽りにゆれる。安定を保とうとすればするほど不安定になり、その「揺れ」は激しさを増します。 それぞれの登場人物が一人称で描かれ、徐々に輪郭が見えてくるストーリー展開も秀逸。
