おばけシューター

ラヂオの時間のおばけシューターのレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
3.8
三谷幸喜の監督デビュー作。マジか!これが初の長編とは信じがたいまでのテンポの良さと濃いキャラクター設定。

ラジオドラマの生放送収録現場でさまざまな事情から本来の脚本から大きく離れた作品へと変遷していく話だが、現場の慌ただしい雰囲気を上手く表現している。

登場人物は割と多いが三者三様で、調整役、頼れる人、トラブルメーカー、いい人、文句だけ言う奴、先生、おこりんぼ、ねぼすけ、白雪姫と明確に役割が違っていて「七人の侍」を思い出す。
製作に対するモチベーションも価値観もバラバラで混沌としているが、しかし、いい仕事をしたいという動機で同じ方向を向いた時、そういう現場には何事にも代え難い気持ちよさが産まれる!そのことが作品から、よく伝わってきた。
残念なのはラジオドラマ自体が、変更前にしろ後にしろ普通に面白くないことくらいか。あとのっこのマネージャーがウザすぎる。まずお前から帰れ!

以下、私的な話。
こういう現場の感じ、身に覚えがあって
学生時代に軽音部やバイトでPA(ライブの音響スタッフ)やってたんですが、そもそもPAの仕事自体ラジオ収録と共通するところがあると思うが、準備やライブ中の現場の空気感はまさにあんな感じで、とても懐かしくなった!
機材トラブルなんかで押してしまい、怒涛の勢いで設営や出音の調整、ヒリヒリする疲労と焦燥、忙しさで若干のハイにもなって「わかったからさっさとやれや!」「撤収間に合わねェぞオラァ!」「犬逃げてるよ!」というような言葉が飛び交うそんな時、、心の底から生きてると感じた!
終わった後は全部チャラになってみんな笑顔になるのも、あるあるです。

おしまい。