映画好きが作った映画という感じがして、心底ワクワクした。
ドラマ製作の舞台裏を実際の当事者たち(テレビ屋たち)が作ることによる生々しさがたまらない。
画角もアングルも演出もキレている。
生放送という舞台設定、緊張感から間延びもない。
素晴らしい映画だった。
加えて三谷幸喜映画監督デビューの今作でこれでもかと過去作のオマージュが入れ込まれている。
最初のイスのシーンは、
キューブリックの2001年宇宙の旅。
顔にズームアップしながら、引くのはスピルバーグが好んだ手法
など枚挙に暇がない。
主人公が誰々と明確にあげることも出来ないほどに役者陣の好演が光っていた。
特に西村雅彦演じる全方位にいい顔しなければならないプロデューサーが熱演。
「満足のいくものはそう作れるもんじゃない。」
「妥協して、妥協して、自分を殺して作品を作り上げるんです。」
「でもそれでも信じてる!いつかは満足のいくものができるはずだと!」
「どんなに気にくわない作品でも、責任があるから最後にクレジットをいれる。」
三谷幸喜の自戒的なセリフなのだろうか?
ピン送り、最初のワンカット、流れるようなカメラワーク。
画面端であえて写り込ませている俳優さんの表情もいい。
大画面で見ることを計算された極映画的映画だった。
後年、舞台が大きくなるにつれて、間延びしている作品も多い中で、広さも時間もちょうどよく手のひらサイズの
三谷幸喜最高傑作。
何度も見返したくなる映画だった。