collina

勝負師のcollinaのレビュー・感想・評価

勝負師(1958年製作の映画)
-
絶対に私はカジノへは行かない…。

今作を観ていて、過去にもあった変な興奮を覚えました。そう、「天使の入江」を観ているときと同じ興奮です。カジノのルーレットにどうも、興奮してしまうようです。私は賭け事は一生しない方がいいタチの人間のようだと発覚しました。

そんなことはさておき、ジェラール・フィリップDVDBOXの作品のラストはドストエフスキー原作の「勝負師」です。(パルムの僧院は紛失していました…。)クロード・オータン=ララ×ジェラール・フィリップ最後の作品、「勝負師」。

ジェラール・フィリップ演じる狂気じみたロシア人家庭教師、アレクセイ。やっぱり、ジェラールはちょっと危ない若者の役が似合う。だが、それ以上に大おばを演じたフランソワーズ・ロゼーもかなりおもしろい。初めは当たっていたものの、次第に当たらなくなり、手元の株まで売り、全財産をするまでの一連の流れ。狂気の渦中にいる彼女がどんどん堕ちて行き、しまいには、遺産を狙っていた将軍、将軍の取り巻きたちが大わらわする姿は愉快で仕方がない。

けれど、もちろんそれだけで終わらせてはくれないドストエフスキー。アレクセイが思いを寄せる将軍の娘ポリーヌは、遺産目当ての取り巻きの侯爵に捨てられ、将軍の財産は侯爵にすべて奪われ、危険なほど純粋であった、アレクセイは、侯爵への復讐をするため、金を稼ごうとするが…。

「賭け事で儲けたお金の何が悪いのでしょうか?」と私たちに問いかける
アレクセイ。「何が悪い」なんて言えない自分。賭け事はいつまでも、私たちを狂気に陥れ、我を見失わせる、一方で、カジノで稼ぐことは罪とはいえない。ただの遊びと罪の境界線は曖昧。

ーーーーーーーー
やはり、ジェラール・フィリップは文芸作品の方が映える気がします。本人はそのイメージから脱したかったようですが。クロード・オータン=ララとジェラールのコンビはもっと観たかったなぁ…。
collina

collina