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イワンと仔馬のshxtpieのレビュー・感想・評価

イワンと仔馬(1947年製作の映画)
4.0
『せむしの仔馬』とも呼ばれ、バレエも有名な『イワンと仔馬』。大塚康生をアニメの世界に導いた作品だという。光る馬の立て髪や光り輝く火の鳥など、画面をぱーっと覆いつくす光の表現がすさまじい。色彩も、とんでもなく大胆。天翔ける仔馬はなんだか猫バスっぽくて、宮崎駿への影響を感じられるが、それ以前に手塚治虫への強い影響は瞬時に見てとれる。全体的にディズニーっぽさはあるものの、バレエ由来の華麗だが少々緩慢な動き、身のこなし、演技、東欧や北欧とアジアの中間のようなロシア的な意匠(最後に現れる妃、王女の造形はあきらかに東洋風)、何度か描かれる市民のいきいきとした生活と娯楽、イワンたちのなんとも言えない相貌など、ソ連のアニメーションらしい華やかさと素朴さ、そして何よりも幻想性に満ちあふれている。とにかく、上下左右に移動し、疾走し、運動するイワンや仔馬のアクションが激しく、落ち着きがない。イワンが王に「王女を連れてこい」と命じられ、火の鳥と同じように妃を物ののように扱うくだりのミソジニー(東洋への蔑視にも繋がっているはず)はきついものの。悪役である家来の馬長官(変な役職!)は、性悪で他人の足を引っ張ることだけを考えている。ああいうやつ、いるよね。なお、監督のイワン・イワノフ=ワノーは、『森は生きている』やユーリー・ノルシュテインと『ケルジェネツの戦い』をつくった作家。
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