うえびん

ヘアスプレーのうえびんのレビュー・感想・評価

ヘアスプレー(2007年製作の映画)
4.0
デュアリティ

2007年 アメリカ作品

1960年代のボルチモア。ハイスクールに通うトレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、憧れの人気番組『コーニー・コリンズ・ショー』に出演して踊ることを夢見て奮闘する。

明るく、楽しく、ノリよく、テンポよく、最後もハッピー。ストーリーもわかり易くて面白い。ダンスなんてできないけれど、自然に身体が動き出しそうになる。

トレーシーのビッグなママを演じるジョン・トラボルタの身体も演技も意外と合っている。彼女の夢は、自分のコインランドリー店をもつこと。今朝、近くのコインランドリーに行ったら、オーナーさんが話しかけてきて「私の洗濯気狂いぶりをみて夫がこの店を建ててくれた」という話を聴いた後だったので、偶然性が面白かった。

こういった作品は、右脳的、感覚的に面白かったでいいと思うんだけれど、あえて左脳的に考えてみると、ルッキズム(外見至上主義)やレイシズム(人種差別)が見えてくる。

特に、この時代のこの場所では白人の黒人に対するレイシズムの激しさが垣間見える。差別意識の強い白人の象徴として描かれるベルマ(ミシェル・ファイファー)。彼女もまた、大量生産・大量消費時代のメディアに呑み込まれてしまったように見えた。

占星術の世界では、2000年まで続いた魚座の時代が終わり、地球はみずがめ座の時代に入ったと言われている。

魚座の時代は、論理的な考え方と戦争の時代、エゴの視点で何かを達成することが求められ、人々が競争や戦いに勝ち抜くことで生きる価値を見出そうとしていた時代だった。

一方、すでに始まっているみずがめ座の時代は、バランス、調和、平和、悟り、変化の時代で、人々はすべてのものに“デュアリティ”を見出すようになるという。“デュアリティ”とは、女性性と男性性、たましいとパーソナリティ、左脳と右脳、ポジティブとネガティブなど、異なるバイブレーションが同時に存在し混ざり合い、バランスと調和が実現されて、平和へと移行していくのだそう。

組織やチーム、パートナーシップでは、競争や優劣の比較ではなく、お互いが平等で心地よいかどうかがカギを握るようになり、外見がどうであろうと人にどう思われようと、自分は自分に満足であるという、自分との心地よさを構築する時代なのだといわれている。

トレーシーたちの生き方に魅せられて、本作の楽しい余韻を右脳的に感じながら、左脳的に考えてみたら、みずがめ座の時代の予兆が感じられた。こういったことが“デュアリティ”というものなのだろうか。
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