義民伝兵衛と蝉時雨

アシク・ケリブの義民伝兵衛と蝉時雨のレビュー・感想・評価

アシク・ケリブ(1988年製作の映画)
4.6
世界、世情、人間、繰り返される歴史、
その中での真の詩人達の普遍的な立ち位置、
遍歴、脱俗、超俗、真の詩人達が旅する茨の道、
俗世、はたまた常識、はたまた資本主義社会 、そういったものの番外地で、
天から受け取る神の言語、
暗闇の中を彷徨う人々を導く松明の如き、
迷妄から覚知へと人々を導く真の詩情、
かつて存在した、そして今を生きる、さらにはまだ生まれてこない未来の、
全ての真の詩情達に通づる物語。
本作がタルコフスキー監督への挽歌という点にも涙腺が緩む。
詩性、音楽性、寓話性、観念性、現実性、普遍性、流石はパラジャーノフ監督というような独創的で圧倒的な芸術性。
シューベルトやサラサーテの旋律の如き、盟友への挽歌であり、惜しくも次作の自伝「告白」は完成せず、自身の遺作となってしまった傑作。