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LIVE FOREVER リヴ・フォーエヴァーのayのレビュー・感想・評価

3.5
90年代後半の短期間にイギリスが発信した文化政策、クール・ブリタニアについてのドキュメンタリー。

1994年、Nirvanaカート・コバーンの自殺。グランジ人気の後退、英音楽シーンにぽっかり穴があいたところで、南部中流階級出身の blurや北部労働者階級出身の oasisがメインストリームに登場。ポスト・サッチャー時代、90年代半ばに成人した世代は、アメリカのマス・カルチャーへの対抗心と屈折したナショナルな感情を共有していて、大胆な気分で皮肉含みのブリットポップがうまれる。同じころに台頭した新労働党は若かった。若い世代の新しい音楽、ファッション、アートと自分たちの政策を結びつけて、クール・ブリタニアとして国家ブランド戦略に利用。1997年の総選挙ではその労働党が18年ぶりに政権奪取、トニー・ブレアが首相に。ノエル・ギャラガーが政権との蜜月を象徴、“浮かれた時代に先まで見てなかった“。ただ、同97年のダイアナ妃の死の衝撃の余波でブリットポップは急速に萎んだ。クール・ブリタニアはカルチャーの政治/産業利用を批判され、今では死語に。

ドキュメンタリー自体の映像、編集はチープ。blurやoasis、Massive Attack、Pulpが主な語り手として本人が登場しているのに感心。教科書としてみた。クリエイションそのものへの国家介入についての自己批判。同じくクール・ブリタニアに含まれたYBAs(ダミアン・ハースト)、映画「トレインスポッティング」、Alexander McQueenなどについても、背景をもうちょっと知りたかった。
"クール・ジャパン"政策への影響とその違いも考えたいところ。
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