Rui

デッドマン・ウォーキングのRuiのネタバレレビュー・内容・結末

デッドマン・ウォーキング(1995年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

死刑囚マシューのカウンセラーとして彼と接見することになったシスター・ヘレン。無実を主張する彼は特赦を請う。シスターは被害者の遺族を訪れて彼らの苦しみを理解するが、それでもなおマシューの精神を支える決意は揺らがない。マシューは数回の面会を経てシスターに心を開いたのか、罪を認める。ただ、その非道な行為は許されるはずもなく、マシューはそのまま最期を迎える。シスターが窓越しにマシューと目を合わせ手を伸ばし続けるシーンが印象的。

女性をレイプした後に殺人の罪までも犯した彼には相応の罰が下されて然るべきだと思うし、全く同情の余地はない。キリストの教えを持ち出して死刑に反対するシスターにも、残念ながら私は全く寄り添えない。作中でも出てきたが「目には目を」。「死刑囚とはいえ一人の人間として扱え」「死刑執行には人道的な方法を」とは言うが、それを言ってみれば被害者の死に方はどうだったのかという話。尊厳など無視された、あまりにも酷い死に際ではないか。
ということで、シスターの思想は今の私にはまだ受け入れ難い。
が、この映画にはそれを超える愛を感じる。凍てついた氷もいずれ静かに溶けていくやも。

死刑制度の是非を多角的に問う作品ならいくらでもある。
しかし、今作には、シスターの慈愛の精神がある。
消えない苦しみややりきれない思いにどう向き合うべきか、
その姿勢を今一度見つめ直す必要があるのかもしれない。
Rui

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